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エモーション:R(移行済み)  作者: りんりん8140
1章
2/4

第2話「昔の出来事《タイムラインヒストリー》」

ルークを先頭に歩くこと約5分程、ルークの家…

いや、

豪邸ごうていに連れてこられた。


千華は愕然がくぜん

「何この大きい豪邸…」

と呟いており、

一方で琉空は目をキラキラさせていた。


琉空「すごい大きい家だ…」


千華「いやいや、大き過ぎるでしょ…」


ルーク「御三方、どうぞお上がりください。」


そんなルークの言葉とは反対に誰一人として動かない。


-なぜなら、そう-


全員緊張しすぎて、

入っていいのかすら分からないほどの大きさだからだ。


柊真「ルーク…?これは俺らが入って大丈夫なのか…?」


ルークは少し苦笑いをした後、


ルーク「これは元は柊真様の豪邸なので、そんなに緊張なさらなくても、いつも通りにしていればいいのですぞ。」


柊真「は?え?」


なんだかわけが分からない。

未来の俺はこんなに大きな家を建てられるほど立派になったのか?

そう思いつつルークに押されるように中に入る。


そしてルークが待ちわびていたかのように言い放つ。


ルーク「お帰りなさいませ、柊真様。」


その後俺たちは、一日の間はこの豪邸で過ごすといいだろうとルークに言われ、そうした。


一部始終、琉空がテンションが高かったのは言うまでもない。

そりゃああいつは小学生だし、

こんなに広い家ならはしゃぐよな。

俺らは中学生になって、もうそんな元気すらないよ…


夕飯はルークの手料理、かなり豪華に見えたが、

ルークは簡単に作っただけですと言う。

こんなに美味いパスタが簡単…?


琉空がはしゃいでいたのも、

千華が今、

料理を美味しそうに食べているのも、


この豪邸の中にいる時に見られた2人の笑顔が俺にとって幸せだった。


ただ、一つだけ引っかかっていることがあった。


柊真「ルーク、テレビを見ていても亜人あじんばかりしか出てこないが…」


ルーク「流石柊真様、順応性が高く、すぐに彼らを亜人だと理解したのですね。」


そりゃあそうだろう、

八頭身のカエル、

獣耳のタレント、

ワニ頭のキャスター

誰一人として人間に見えるやつはいなかった。


-それを亜人と言わずして何と言う?-


俺が難しい顔をしていると、

思い出すように上を見上げ、ルークが口を開いた。


ルーク「この世界の人間は、もうほとんどいませんよ。」


何故なんだ?

そう言いかけた時、

ルークが間髪かんぱつ入れずに喋り始めたので、

ひとまずルークの話を聞くことにした。


ルーク「時は2025年8月、

日本は領土問題に悩まされていました。

その時、当時の

ロシア、韓国、中国、台湾が

一斉に日本を攻撃し、

第三次世界大戦が開戦しました。

日本は必死に防衛を続けていき、

程なくして劣勢に至り、そんな状況を打ち破るべく

2030年、彼らは亜人を

徴兵しようとしましたが、

結局失敗に終わり亜人と人間での内戦が併発。

その後はアメリカの

度重なる空襲により日本政府、

軍は壊滅し、第三次世界大戦は終戦しました。

そして終戦から2ヶ月後、

とある人間が亜人達との和解に成功し、

唯一第三次世界大戦で被害が出なかった暁市に、8つの区画と1つの行政区を作り上げたのです。」


千華と琉空は分かっているような分かっていないような顔で、

「そんなすごい人がいたんだ…」と呟いている。


そしてルークはこちらに向き直り、

正直寝かけていた俺も、

次のルークの言葉に目を覚ます。


ルーク「その御方こそ柊真様、我があるじでございます。」


柊真「え!?俺!?」


思わず大きな声を出してしまう。

だが仕方がないだろう。

そりゃびっくりもするさ。


ルーク「私が知っているのはここまでですね。

詳しい戦史は歴史図書館でないと見れませんし。」


そう言ってルークは話を終えた。


琉空「お兄ちゃんは優しいもんね。」


千華「それに、こんな大きい豪邸建てれるのが、

そういうことがあったからなんだとしたら納得だわ。」


柊真「いや、納得するとこそこか!?」


正直、どこに納得されたのかわけが分からない。


そしてそんな考えはいざ知らず、ルークは明日もあるので寝ようと言うのでそれぞれ案内された

寝室へ向かう。

フカフカのベッド、軽いがあたたかそうな掛け布団、

これでもかと言うくらい

触り心地の良い枕に頭を置いて目をつぶる…が。


……眠れるわけが無いんだよな……


◇◆◇◆◇

(翌朝)


ルーク「柊真様、おはようございます。御二方は既に起きていらっしゃいますよ。」


ルークの声に目を覚ます。

いつの間にか眠りについていたらしい。


柊真「あぁ、おはようルーク。」


ルークが用意してくれた朝食を食べ、

これからどうするかを話し合った。


無論、ずっとここにいるわけにもいかなかった。

そしてまとまった答えとしては、


-現代に戻る方法を暁市全体を周って探し出すこと-


抽象的な答えではあったが、1番正しいような気もした。


いざ出かけようとしたところ、ルークが手紙とリュック、そして3枚の紙を持って来た。


柊真「ルーク、どうしたんだその荷物は?」


ルーク「御三方が使えそうなリュックと、専用のステータスカード、そして、柊真様からお預かりしていた手紙を持って参りました。」


柊真「俺からの手紙?」


ルーク「手紙はそれぞれの着いた先で開封して読み、

9枚目は、心して読めとの伝言です。」


柊真「そうか、分かった。」


ルーク「私はついていけませんが、どうか、ご無事で御三方が過去へ戻られることを願っておりますぞ…。」


柊真「あぁ、ありがとうな、

ルーク。じゃあ行ってくる。」


千華「お世話になりました!」


琉空「ルークさんありがとうございました!」


ルーク「行ってらしゃいませ、御三方!」


いつまでもルークが手を振ってくれている。


しかし、あっという間に見えないほど小さくなる。


もう少しで目的地が見えてきて、忙しい旅が始まるのだろう。


だけど、ルークのことは何があっても忘れない。


これから始まるのだ、宛もなく、途方も無い俺達の現代へ帰るための旅が。

______________________

(3話に続く…)

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