第1話「初めて未来へ《ファーストループ》」
初投稿です。よろしくお願いします。
あまり見る人はいないと思いますが、
見てくれる数少ない人達のために、
努力をしていこうと思いますので、
最後までお付き合いいただけると幸いです。
ある夏の日、鈍い音と悲痛な声がこの交差点に響き渡る…
???「これで…良かったんだ…。」
◇◆◇◆◇
???「どこ…?ここ」
もう何百回と聞いたその声に俺、柊真は目を覚ます。
見慣れない森の中、隣に先に立ち上がっていた、
幼なじみの千華の声が響き渡るのはよくわかる。
まだ目を覚ましたばかりの重たい体を起こし、
弟、琉空も起こす。
辺りを見回したが、先程まで居たはずの交差点でないことだけは明白だった。
しばらく立ちつくしていると、
背後から声が聞こえてきた。
背中をつつかれ振り返ると、
執事服を着た八頭身のカエルさんが、
今にも泣き出しそうな顔でこちらを見ている。
普通に考えれば明らかにおかしい見た目だ。
だけど、俺はそんなことは気にはとめなかった。
何よりも、なぜ泣きそうな顔でこちらを見ているのか、不思議でたまらなかった。
柊真「どうしたんだ?カエルさん。」
カエルさん「いえ、柊真様がもう一度目を覚まされるとは…
しかもこんなお若い姿で…
御容姿が若くとも、ルークは覚えていますぞ!」
カエルさんが喋りだし、日本語を流暢に話す。
あまつさえ、俺の事を知っているらしい。
名前は…ルークというのだろうか。
柊真「失礼、カエルさん、名前を伺っても?」
カエルさん「おっと、これは失敬。私としたことが申し遅れておりました。
私は柊真様の生前の執事、
ルークと申します。」
そう言ってルークと名乗るカエルさんは深々とお辞儀をした。
「生前」、それは俺がもう既にここでは亡くなっていることを示唆していた。
そこで疑問が生まれる。
―ここは一体どこなんだ?―
ルークは元執事だからなのだろうか、
こちらに友好的に接してくれていて、
すぐにこの疑問にも答えてくれた。
ルーク「ここは2200年の暁市でございます。」
2200年、俺達の元居た時代は2021年だから、
かなりの歳月が経っている。
そして答え終わるや否や、すぐにルークがまた口を開く。
ルーク「千華様もいらっしゃるのですね!
そしてそちらは…あぁ…」
ルークは何故か琉空の方へ向いて手を合わせる。
それが何を思っての事なのか、俺には理解出来るはずもなかった。
千華「ルークさん、悪い人ではなさそうね。」
琉空「むしろいい人なんじゃないの?」
2人も、俺も、知らない時代に来て、
一番最初に友好的に話しかけてきたルークをすっかり信用していた。
ルーク「御三方、行くあてもないでしょう。
あちらに私の家がございます。
もしよろしければそちらでひとまずおやすみください。」
もちろん行くあてなんかなかった。
2人も俺もルークを信用している。
ついて行く以外の選択肢がなかった。
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(2話に続く…)