表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/39

第10話 恐竜VS恐竜

豪雨等もあり、投稿が3週間空きました…(汗)。


~テツヒロサイド~

「まさかあのまま全員5時間もあの部屋の中で爆睡ばくすいしちまうとは…。」

「ごめん…寝落ちした…。」

 ノア達が借りている宿舎に帰っている5時半頃、テツヒロ達は町の外に出ていた。日は暮れ、地面をオレンジ色に照らしている。

「この辺り…よね?酒場のマスターさんが言っていたのって。」

 3人はある目的のために町の外に居た。表には居ない珍しい生物がこの世界には暮らしているため、特に用事が無いのなら見てきたらどうだと言われたのである。3人は寝起きの運動がてら町の入り口にある巨大な門が小さく見える高原まで来ていた。

「マユ、地図見せてくれ…。うん、珍しい生物が出るのはこの辺り…の筈なんだけど…?」

「そもそも、生物がまったく居ないぞ、この辺り。」

 3人は15分ほど、辺りを歩き回り探し続けたが、生物の痕跡こんせきすら見つけることが出来なかった。

「何にも居ない!ただの原っぱだよぉ…。」

「毎日生物が居ないってことはねえだろうしな…。今日のところは帰ろうぜ、テツ。」

 テツヒロは高原の一点を見つめて動かない。キョウジが不信ふしんに思い、近づいてみるとテツヒロは高原の真ん中近くにあった変わった形の岩を見つめていた。その岩は五角形のうすい板状のものが幾つも縦につらなっていた。

「あれが気になるのか。自然に出来たとは思えねえ形してるからか?」

「いや、それもそうなんだけど…。なんか…見覚えがあるんだよな…。あの形状けいじょう…。」

こっちでか?それとも…。むこう…?だが、むこうに居ない生物なら…。」

図鑑ずかんか何かで見たような気がするんだよな…。」

 テツヒロは少しずつ前に進み、変わった形状の岩のそばまで来た。テツヒロが岩に触ってみると岩の下がもぞもぞ動いており、岩本体も少しぬくもりがあることに気づいた。

「この岩の真下に何か居る…!」

「岩の真下か。不思議なもんだな。こんなとこに隠れて…、敵となるような動物も周りに居ないのにな。」

「そうね、何のためにこんなところに居るのかしら。」

(グルルルル…)

「あ?テツ、腹減ったのか、じゃあ帰るか。」

「え?俺じゃねえぞ?マユじゃないのか?」

「そんなわけないでしょ!?まったく…。ん?あ……。」

 2人の後ろに居たマユの顔が真っ青になっていくのを見て2人は困惑こんわくした。マユの視線は少し上を向いており、岩の向こう側を見ていた。2人はマユの向いている方を同じく向いた。

「へ?」「は?」

 3人の視線の先には大きな口からよだれしたたらせ、20センチはありそうな長いきばさらした、体長たいちょう8メートルはありそうな二足歩行の巨大な赤肌あかはだのトカゲが居た。

「ギャース!」

「「「うわああああああ!?」」」

 3人は一目散にその場から駆け出した。トカゲも3人を追いかける。追いかけられつつ、3人とトカゲは森の中に入り込んでいく。

「ねえ!あれ…!」

恐竜きょうりゅうだろ!?人間ってか、能力持ってねえ俺らは逃げるしか…。」

「ちょっ…2人とも待って…!」

 普段から喧嘩三昧けんかざんまいの2人はかく、運動神経が2人と比べて悪いテツヒロは5メートルほど遅れていた。追い付かれてこそいないものの、酷く疲れてしまっていた。そして、彼は足元にあった木の根に足を取られ、地面に倒れ込む。

「うわっ…!」

「テツ!?」「テツヒロ!」

 恐竜はぐ目の前にせまっていた。転んだときに木の根に足をぶつけていたらしく、彼のひざは痛々しい青色に染まっていた。

「ぐうう…!」

 あまりの痛みに立ち上がることも出来ず、その場でうずくまり、テツヒロはもだえ苦しむ。恐竜は立ち止まり、テツヒロに狙いを定めた。大きく口を開き、テツヒロを呑み込もうとしたその時、恐竜の真横から大きな影が飛び出し、テツヒロを呑み込もうとした恐竜を弾き飛ばした。その影は高原で見た板状の岩を背に生やした四足歩行の緑肌みどりはだの恐竜であった。

「ステゴサウルス…!」

「ブオオオオッ!」

 テツヒロがステゴサウルスと言ったその恐竜は、テツヒロを尻尾しっぽで器用に木のかげに寄せ、もう1匹の恐竜と向かい合った。2匹の間ではしばらにらみ合いが続いたが、しびれを切らした赤肌の恐竜がステゴサウルスに突っ込んでいった。ステゴサウルスの尻尾にはスパイクが左右に2対生えているため、尻尾を振り回して赤肌を牽制けんせいする。赤肌はそれを避けつつ、すきを狙う。そのやり取りを2匹がしているうちにマユとキョウジはテツヒロと合流した。ステゴはそれを確認すると強烈きょうれつ体当たいあたりで赤肌を思い切り突き飛ばした。赤肌は胴体どうたい大木たいぼく強打きょうだし、そのまま倒れ込んだ。

「すげえな…、ここには恐竜が居るのか…!」

「てっちゃん、大丈夫?立てる?」

「手を貸してくれればなんとか…。てっちゃんってなんか久しぶりに呼ばれた気が…?」

「あ~、ここに来てから呼んだ記憶無いかも…。」

「テツ、マユ、一先ひとまずここから離れよう。下手すりゃ巻き込まれる。」

 キョウジは、ステゴが居る方向と真逆の方向を向いて顔を引きらせた。赤肌よりも一回ひとまわり小さく足に赤肌の牙と同じくらいありそうなかぎづめを光らせた黄肌きはだの恐竜、5頭の群れがかまえていたからだ。

「マジかよ…!」

「多分…、ディノニクス…。あんな大きなかぎ爪を持っている恐竜を俺はそれ以外知らない…。」

「てっちゃん、あっちの赤いのは…?」

「牙が大きいからティラノサウルスだと思う…。」

 すると、後ろの異変いへんに気づいたステゴが周りの木々(きぎ)をたおしながら振り向き、ディノニクス達に威嚇いかく遠吠とおぼえをした。

「ブオオオオ!!!」

「ギー!ギー!」

 甲高かんだかい声で威嚇をし返すディノニクス達。相手がひるまないことを察したステゴはその重たそうな巨体きょたいからは想像も出来ないくらいに高く飛び上がり、そのまま空中にとどまったまま、高速回転をし始めた。

「へ?恐竜ってあんなことも出来るのか!?」

「そんなこと図鑑で見たことない!ここ特有とくゆう生態せいたいなのか!?」

 板状の部分は空気摩擦くうきまさつによって発火はっかしたのか、夕日とあいまって辺りの景色けしきに照らす。板状の部分すべてにほのおが回るのを待っていたステゴはそのまま地面に落下し、着地と同時にディノニクス達に向かって加速かそくした。急な攻撃に反応出来なかったディノニクス達は辺りの木々と共に焼かれながら切断せつだんされた。1匹、なんのがれた個体がいたが、それ以外の個体は影も残さず消滅しょうめつした。

「ギギギ…!」

 あせったように残ったディノニクスがうめく。その光景に見入っていた3人は後ろで急に起こった爆発音に驚いた。

「グオオオオオ…!」

 ティラノが目を覚ましたのだ。まだふらついてはいるもののその眼はしっかりとが燃えているステゴをとらえていた

「…。」

 身体からだを大きくふるわせ、背中せなかたけっていた炎を消したステゴは、後ろ足で立ち上がり、身体からだが小さくなり始めた。板状の部分は背中に収納しゅうのうされていき、真っ赤な着物きものを着た少年のフォルムが見えてきた。腰の左側には1本の日本刀にほんとうを、右側には酒の入った瓢箪ひょうたんを提げ、短髪たんぱつに切りそろえた蒼髪がえる。

「まだやるのか、知性の無いトカゲ共。」

 そう言って腰からかたなを抜く。

「僕に触れる権利すら与えないよ。「付与(エンチャント)蒼炎(バーニング)」。」

 少年が持っていた刀からあおい炎が噴き出す。前にはディノニクス、後ろにはティラノ。その2匹にねらわれつつ、蒼く染まった刀をかまえる。

「それも能力スキルを持たない人間を狙うとは…。ちたものだね。所詮しょせん知性の無いトカゲ風情ふぜいか、土妖精族ドワーフいでもらったこの「蒼天そうてんつるぎ」のさびにしてやる。」

 少年はディノニクスに向かって飛び出した。ディノニクスはくうに飛び上がり、そらから少年を狙う。さらに後ろからティラノが突っ込んでくる。

蒼環剣そうかんけん…、「はやぶさ」…。」

 蒼い閃光せんこうと共に恐竜達はぶつ切りにされていた。刀を仕舞い、テツヒロ達の方に歩いてくる。恐竜達の返り血を間違いなく浴びていた筈なのに血でよごれているのは顔と手のみ。

「錆どころか…。斬りごたえもない。態々(わざわざ)技を使う必要もなかったか。」

 近づくにつれて、彼の顔は青く、黒く、染まっていく。

「あ…。えと…、その…、け、け、怪我…、だいじょぶ…?その…あの…う…。ここ…あ、危ない…よ…?ここ、恐竜の森…って呼ばれてるとこだから…。」

 おどおどしながら、素早くテツヒロの怪我の応急処置おうきゅうしょちほどこした後、ペコペコと頭を下げながら、猛ダッシュで森の奥へと走り去ってしまった。

「あ、お礼言えなかった。」

 帰り道、テツヒロはボソッとつぶやく。

「そういや…名前…聞いてなかったね。」

「ここは広いんだろ…。なら、また何処どこかで会えるだろ。」

 そんな3人の後ろ姿を見守る1つの影。

日向ひなたぼっこしてたのにいきなり背中触られたらそりゃあ誰だって驚くよ…。」

そう言った瞬間、とんとんと背中を叩かれ、反射で刀を抜き、後ろへと斬りかかった。カキン!と高い音が鳴り、刀を弾き返された。返した人物は頭に三本のつのがあり、具合が悪そうに青い顔を通り越して白くなってしまっていた。

「ちょっと…。背中を軽く叩いただけじゃないの…。ただでさえ、具合悪いのに…、やめてよ…。」

貴女あなたの事情なんて知りませんよ…。こっちは一日中ここで日向ひなたぼっこしてましたし?それに、タイミングが悪すぎるんですよ。平和ヘイワさん。」

 少年、いやステゴサウルスの竜神族ドラゴナイトである御滴唐矢ミタラシトウヤ。そして、その後ろに居たのは昼間、自身のギルドホームにて、ツキエルにめられ、自分が呑むことの出来ないスピリタスを吐くまで呑まされ、命からがら抜け出してきた(今はタクミ、エルドラの2人がギルドホーム内の酒場で大食い競争をしている)竜神族の少女、コイネガイ平和ヘイワであった。

 「ツキさんですか、あの人…天使も飽きないですね。どれだけ貴女あなたで遊びたいんでしょうね。」

「で、今、ストレスが極限まで溜まってるからこれから付き合える?普通に酔い覚ましでご飯行きたいの!」

「貸しでおごってあげますよ。これで貸し、5つ目ですけどね?」

 2人は、3人が帰った後の道を談笑だんしょうしながら帰っていく。






彼らもしかり、次の日に起こる誰も…いや、ただ一人を除いて予想することなど出来ない。











「そろそろ全員の能力スキルが発現する頃かな…。ったく、この「予知夢ジャック」、どうにかならんもんかね。序列の話も…。冗談じゃない…、俺は「世界最弱ワールドウィーカー」だってんのに…!」


 序列1位、歴代最強の男が動く…!

次回から「三つ巴の大戦編」始まります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ