20 真・暗黒竜王VS魔導王、終結
俺の爪が、尾が、ブレスが、確実の魔導王の肉体を破壊していく。
『ぐおお……おおおお……』
すでに奴は右前脚を失い、翼も一枚しか残っていない。
全身を覆う鱗はボロボロに砕けている。
もはや半死半生だった。
それでも全身に黒いオーラをまとい、頑強に反抗してくる。
強さへの──力への、執念。
奴はそれを本能であり、魂の希求だと叫んだ。
だけど、俺は違う。
『力でもって、エレノアを踏みにじったお前を──仲間や故郷を奪ったお前を、絶対に許さない! だから俺は戦う!』
『恨みか? 憎しみか? そんな力で余は倒せぬ!』
『俺は、散っていったみんなの尊厳を守るために戦っている! だからこそ全力でお前を──否定する!』
最後の、一撃。
俺が放った黄金のブレスが、魔導王の中心部を射抜く。
『が……は……っ……!』
さすがに奴もそれ以上の抵抗はできなかった。
体がボロボロに崩れ、消えていく。
『我が想いは……至高の強さには、届かず……無念……』
脚が、翼が、尾が、牙が消滅していく。
そして最後に、闘志に燃える瞳が──。
『だが……お前も、終わりだ……その体を維持できる限界が、来たらしい……な……』
『何……!?』
気が付けば、俺の体もまたボロボロだった。
この体はスキルで作ったかりそめのものだ。
その限界時間が早くも到達したのか。
まずい──。
元の体に戻ってしまったら、おそらく宇宙空間では耐えられない。
『余は消えるが……お前と互角に近い戦いができたかも、しれんな……それだけは、満足……だ……』
その言葉を残して、魔導王は消滅する。
やったぞ、みんな──。
長い旅の果てに、ようやく魔導王を討ち倒した。
エレノア王国で、そして旅で散った者に、届くだろうか。
この勝利が。
だけど、感慨に浸る時間は残されていなかった。
俺の体はみるみるうちに崩れていく。
やがて、元のダークエルダードラゴンのものへと戻ってしまった。
落ちる──!?
まるで惑星に引き寄せられるように、俺の体が落下していく。
全身をすさまじい熱が包みこんだ。
なんだ、これは……!?
魔法の類ではなく自然現象のようだ。
落下しながら、俺は炎に包まれて死ぬのか……?
さらに、強烈な圧が全身を押しつぶしてくる。
炎と圧の苦痛で、意識が遠くなった。
これが──。
俺の、最期なのか。
まあ、魔導王は倒したし、為すことは為した。
人生と竜生の幕引きをするなら、まあ悪くはないかもしれないな。
『駄目よ、ガルダ。まだあなたを死なせはしない──』
不意に、声が聞こえた。





