16 三つ巴の決戦
『ほう……勇者か。お前までが余を討ちに来たとは』
魔導王が吠える。
『つまり、余が「世界の敵」として神から認定されたというわけだな。くくく』
「ああ、そうだ。俺は『世界の敵』を──お前たちを討つ。勇者として!」
アーバインが凛として叫んだ。
その後ろには僧侶、騎士、魔法使い、そして剣士の四人。
勇者パーティ、か。
『やれるものならやってみよ!』
魔導王が【滅びの光芒】を放った。
「無駄だ。俺の聖剣ファルミューレは『絶対加護』の力を持つ! お前の攻撃なんて──何っ!?」
アーバインの聖剣が光の防壁を作り出すが、魔導王のブレスによってあっさりと打ち砕かれた。
さらに、攻撃の余波が彼らを吹っ飛ばす。
「まさか、聖剣の防御が……!」
険しい表情でうめくアーバイン。
なおも魔導王はブレスを吐き散らす。
【滅びの光芒】に加え、【大罪】系の火炎や雷撃までも。
俺はミラたちの前に立って壁になりつつ、ブレスでそれらを相殺する。
アーバインたちも聖剣や各メンバーの魔法で同じく相殺している。
「見境なしか……」
アーバインが魔導王をにらんだ。
「まずは奴を倒すべきかな。暗黒竜王はその後だ」
「確かに、向こうの竜はもう少し理性がありそうですから」
と、初老の僧侶が言った。
「どっちでもいいんじゃねーの? どのみち全部倒すんだし」
「この脳筋! 二体同時に相手にしたらキツくなるでしょ。戦いには戦術ってものがあるのよ」
「俺だって分かってら、そのくらい」
言い争いをしている青年騎士と女魔法使い。
と、
「奴とは共闘できそうだ」
ぽつりとつぶやいたのは、最後尾にいる黒ずくめの青年剣士だった。
長い金髪に澄んだ紫色の瞳をした美丈夫だ。
他のメンバーはいずれも一度相まみえているが、こいつだけは初めて見る。
「共闘だって、ラース?」
「ああ。伝説の暗黒竜王──だが、奴からは邪悪な気配を感じない」
ラースと呼ばれた剣士が勇者に答えた。
「まず奴とともに魔導王を討つ。その後で奴の処遇を考える。どうだ?」
と、俺を見るラース。
「お前、おそらく人語を解する知性があるだろう? 私たちとともに魔導王と戦わないか。お前にもメリットがある話だと思うが」
『……共闘、か。魔導王を倒した後は、敵同士ってことだよな』
「そうだ」
半ば独り言だったが、ラースは俺の言葉に反応した。
こいつ、俺の【意思疎通】が通じるのか。
魔導王同様に、こいつにも高い魔法能力があるのかもしれない。
だとすれば、単なる剣士じゃなく魔法剣士なんだろう。
「問答無用で拒絶というわけではなさそうだな。この場で最強の戦闘能力を持っているのは、間違いなく魔導王だ。各個撃破されるくらいなら──」
『分かった。迷っている暇はなさそうだ』
『ふん、相談は済んだか』
魔導王がうなった。
奴の性格上、俺とラースの会話中に攻撃することはないと思っていたが……やはり、相談がまとまるまで悠長に待っていてくれたらしい。
「──その余裕が命取りだ」
ラースが冷然と告げた。
そして──最後の決戦が幕を開ける。
連続更新はここまでです。
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