15 猛威
『どうした? 暗黒竜王ともあろう者が、そんな程度か?』
魔導王が爪を剣のように伸ばし、繰り出してきた。
さながら爪による斬撃。
これも俺と同じスキル【爪撃裂破】である。
『くっ……!』
俺も【爪撃裂破】で対抗する。
パワーでは奴の方が明らかに上だ。
上段からの一撃を受け止めずに、受け流す。
『むっ……!?』
『攻撃の威力では負けるが、「剣術」なら俺の領域だ!』
そのまま懐まで飛びこんだ。
ちょうど真上に魔導王の顎部分がある。
この位置から撃ち抜いてやる──。
食らえ、【滅びの光芒】!
俺が撃ちだした青白いドラゴンブレスは、
『【エクスプロテクション】』
しかし、魔導王が展開した防御呪文に弾かれる。
『こいつ──』
『余が何者か忘れたか? 余は魔導王──魔導を極めし者ぞ。ドラゴンの力しか持たぬお前が、魔導とドラゴンの力を合わせ持つ余に勝てると思ったか!』
ふたたび魔導王がドラゴンブレスを放つ。
俺の方はブレスを撃ったばかりで、続けざまに撃つにはワンテンポ溜めが必要だ。
『ぐあっ……』
迎撃が間に合わず、俺は魔導王の【滅びの光芒】に吹っ飛ばされた。
「ドラゴンさん!」
『来るな!』
駆け寄ろうとするミラに、俺は叫んだ。
『コレットとリーリアもだ。奴は強い──今までの側近モンスターとは桁が違う。防御結界を張って身を守れ。そして──隙を見て逃げろ』
「そんな……」
「あたしらは足手まといだって言うの?」
「私たちは仲間だろう」
抗議するミラたちに、俺は首を振った。
『仲間だからこそ──下がっていてくれ』
「ドラゴンさん……」
『お前たちには死んでほしくない』
『ふん、殊勝なことだ』
魔導王がブレスを放つ。
俺もブレスを放ち、なんとか軌道をそらした。
正面から撃ち合っても、パワーで押し切られる。
相手の攻撃を受け流しつつ、隙を見て反撃するしかないんだが──。
『くくく、反撃の機を伺っているのか? だが、無駄だ。その反撃も余の魔導で簡単に防げる。そしてお前が反撃してきた隙を見て、余は確実にさらなる反撃を加える』
……確かに、奴の言う通りだ。
ドラゴンの攻撃スキルと魔導、二つの戦闘手段を持つ魔導王に対し、俺の攻撃手段はドラゴンの攻撃スキルのみ。
どうしても『一手』足りない。
その一手の差で、どんどん押しこまれてしまう──。
ふたたび魔導王がブレスを放った。
俺もさっきと同様に受け流す。
が、
『【エクスブラスト】!』
上級の破壊呪文を食らい、吹っ飛ばされてしまう。
対魔法防御能力を持つはずの鱗が、ボロボロだった。
さすがに魔導王の魔法は、並じゃないということか。
くそっ、全身に力が入らなくなってきた……。
『そろそろダメージが蓄積してきたか。では、お前の力をもらうぞ』
魔導王が近づいてくる。
『お前にとどめを刺した後で、な』
くっ、どうすれば奴に対抗できる?
どうすれば『一手』の差が埋まるんだ──。
「『吹き荒れる氷雪』!」
突然。
横合いから無数の氷の矢が飛んできて、魔導王に襲い掛かった。
『なんだ……!?』
それをブレスで吹き散らす魔導王。
その間に、俺は【飛行】を使って大きく後退、距離を取る。
今の攻撃は一体──?
そう思って視線を走らせると、そこには長剣を構えた一人の少年がいた。
「また会ったな、暗黒竜王……って、二体いる!?」
驚いたような声を上げる少年。
『お前は──』
俺は驚いて彼を見つめた。
赤い髪をした勝ち気そうな少年──。
勇者、アーバイン・ラウ。
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