13 王国騎士VS聖蛇姫3
『人間ごときが魔導王様の側近であるあたしを倒す気? 無駄だってば、無駄無駄』
聖蛇姫が蛇髪をざわめかせる。
その口先から光弾が放たれた。
蛇髪にはこんな攻撃方法もあるのか!?
俺は大きくサイドステップして避ける。
が、着地した瞬間を狙って、第二波が来た。
「ぐあっ……」
体勢を整えきれず、吹っ飛ばされる俺。
剣を支えに、よろよろと立ち上がった。
正直、今のは効いた。
だが、問題ない。
奴に肉薄し、剣を叩きこむ──。
俺がやるべきことは、それだけだ。
「いくぞ、ナビ」
『──了解。【エクスサーチ】』
ナビが上級探知呪文を唱える。
これから俺が仕掛ける攻撃のための、下準備だ。
『いいよ、ガルダ。仕掛ける場所は──』
と耳打ちするナビ。
それを聞いて、俺は地を蹴った。
『【身体強化・上級】!』
ナビの呪文を受け、俺の運動能力が何倍にもアップする。
かなり効果が高い【身体強化】なんだろう。
体がすさまじく軽い。
聖蛇姫の光弾が俺を迎撃した。
走りながら避けるが、数が多すぎる。
「ぐっ、ううう……っ!」
光弾の半分は受けるに任せ、さらに走った。
多少のダメージはいい。
とにかく間合いを詰めるんだ。
『必死だね~。そんなに傷だらけになってもまだ戦うんだ?』
聖蛇姫が揶揄した。
『ここでは人間の姿だけど、向こうに戻ればドラゴンでしょ? 二度と人間社会には戻れないよ。それでも戦う理由があるの~?』
「やっと魔導王の元までたどり着いたっていうのに、戦わない理由こsどこにある?」
俺は走る。
「人間社会に戻れなくてもいい! まだ生きている奴らが、またエレノアで過ごせるように──笑って平和に過ごせるように、俺は戦う!」
さらに、加速。
全身の筋肉がちぎれそうなほどの負荷だ。
運動能力が上がるということは、それだけ負荷が強烈になるってことだからな。
構わず俺は踏みこむ。
あと──五メートル!
「その未来を切り開くために、俺は戦う!」
復讐を遂げ、未来を歩む。
それが俺の人としての、竜としての戦う理由。
『こ、このっ……なんで、これだけ食らっても、まだ止まらない……っ!?』
そうだ、俺は止まらない。
あと三メートル……二メートル……一メートル──。
「おおおおおおおおおおおおおおおっ!」
俺は渾身の一撃を聖蛇姫に叩きつけた。
切っ先が胸の間に当たり──、
ぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃっ……!
軋むような音を立てて、わずかにめりこむ。
『な、なぜ……!? あたしの体が──』
「どんなに硬い物質でも、その一点を衝けば脆く崩れるというポイントがある」
俺はさらに力を込めた。
ぎぎぎぎぎっ、と切っ先が石の体に沈み込んでいく。
「そこを正確に突いたんだ。ナビに呪文でサポートしてもらって、な」
『そういうこと。私が上級探知呪文【エクスサーチ】であらかじめ、そのポイントを見極めていたからね』
と、ナビ。
「終わりだ、聖蛇姫」
そして。
俺が全体重を込め、聖蛇姫の中心部を貫いた──。
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