12 王国騎士VS聖蛇姫2
『ガルダ、あいつの石化は私が解除するわ。あなたは攻撃を』
「──助かる」
俺は剣を構え直した。
『ふーん、二対一? 別にいいけど』
聖蛇姫が鼻を鳴らした。
「悪いが、向こうの世界には魔導王がいる。さっさと終わらせて、向こうに戻らせてもらうぞ」
告げて、俺は地を蹴った。
まだ人間の体には違和感がある。
とはいえ、ずっと鍛え続けてきた剣技は俺の体に染みこんでいるはずだ。
考えるな、感じろ。
俺は自分自身に言い聞かせる。
本能のままに動き──奴を、斬る。
『くっ……【石化】!』
『【エクスヒーリング】』
ふたたび聖蛇姫が石化のスキルを発動するが、ナビがあっさりと解除した。
俺はさらに加速し、聖蛇姫に迫る。
渾身の斬撃を叩きつけた。
がきんっ……。
鈍い音とともに、剣がはじき返される。
「何……!?」
『黙って斬られるとでも思った~? あたしは自分の体を【石化】することもできるのよ』
聖蛇姫が勝ち誇った。
その全身が灰色に変色している。
単なる石じゃなく、魔力で生み出した石の体──。
あれを斬るのはなかなか厄介そうだ。
ドラゴンブレスが使えれば一発で消し飛ばせるかもしれないが……。
『【エクスヒーリング】』
ナビが上級回復呪文で石化解除を試みる。
だが──、
『無駄よ~。「状態異常」なら回復呪文で治癒できるけど、これはあたしの本来の姿のバリエーション。【ヒーリング】系で解除することはできないの』
『じゃあ、その体ごと撃ち抜くしかないわけね』
『そういうことだね』
うなずく聖蛇姫。
『できるものなら──やってみれば?』
言うなり、蛇髪が伸び、広がり、襲い掛かってきた。
俺はそれらを剣で切り払う。
が、数が多い。
迎撃しきれず、何本かの蛇髪に噛みつかれてしまう。
傷口から石化が始まるが、それはナビが【エクスヒーリング】で解除してくれた。
彼女がいる限り、そうそう【石化】されることはないだろうが、こっちも攻撃に転じることができない。
「──ナビ、他にも僧侶系呪文は使えるのか?」
『もちろん。ひととおり使えるわよ』
「じゃあ、身体強化を頼む。一気に奴の懐まで飛びこむ」
『いくら強化しても、あいつの体を斬れるとは限らないわよ』
と、ナビ。
「確かに、斬るのは厳しいかもしれない」
俺は剣を腰だめに構えた。
「だけど手はある。協力してくれ、ナビ」
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