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暗黒竜王レベル1に転生 いずれ神も魔王も超えて最強の座に君臨する  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第6章 魔導王

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10 黒鎖牢獄

「おそらくは、間違いあるまい。お前はエレノアに縁のある人間なのだろう? なんらかの理由で牙を宿し、そして暗黒竜王へと受肉、転生した」


 告げる魔導王。


 その辺りのことは、『暗黒竜王の神殿』に行ったときに大体理解していた。

 俺は魔導王の軍勢に殺された後、神殿に魂を運ばれ、一か月かけて暗黒竜王の幼体へと転生した。


 ただ、『暗黒竜王の牙』というのを宿していたことは分からなかったが……。


「お前の体の核には、その牙があるはずだ。余はそれを媒介にして、お前の力を手に入れる──」


 魔導王が立ち上がった。


 こつ、こつ、と玉座から続く階段を下りてくる。

 俺たちのところまで。


 こいつ、何をする気だ──。


『ミラ、コレット、リーリア。気をつけろ』


 俺は背から彼女たち三人をいったん下ろした。


『奴の狙いは俺だ。いざというときは、お前たちだけでも逃げろ』

「ドラゴンさん、あたしたちも戦います」


 剣を抜くミラ。


「当然でしょ。あたしが魔法であんたたちを守ってやっから」


 コレットが錫杖を構える。


「私もだ。奴を倒す」


 勇ましく杖を掲げるリーリア。


「抵抗は無駄だ。余が生み出した禁呪法の前には」


 魔導王が両手を掲げた。

 まるで神に祈りを下げるように。


「さあ、我が元に来たれ、竜王の力よ! ──禁呪法【黒鎖牢獄(こくさろうごく)】」




 その瞬間、俺の視界は反転した。




「ここは──?」


 気が付くと、いつの間にか、竜ではなく人間の騎士の姿になっている。


 場所も、さっきまでの謁見の間じゃない。

 精神世界である『内なる境界』のようだ。


「さっきの魔導王の魔法で、強制的に転移させられたのか……?」

『正確には魔導王様の魔法とあたしのスキル【精神石化】の合体技だね~』


 前方の空間が揺らぎ、一人の少女が現れた。

 十代半ばくらいの、可愛らしい女の子。

 ただし、その髪は蛇でできていた。


 石化魔女(メデューサ)だ。


『あたしは「聖蛇姫(せいじゃき)」。魔導王様の側近よ』


 神樹伯爵や機甲巨人、天翼覇竜と同格のモンスターか。

 見た目は単なる女の子だが、油断していい相手じゃない。


 俺は腰の剣を抜いた。


『暗黒竜王の依り代。人間としての名はガルダ・バールハイト』


 聖蛇姫が俺を見据える。

 ギラギラと輝く妖しい瞳で。


『あんたを消せば、暗黒竜王の「力」は持ち主不在の状態になる。それを魔導王様が手に入れる──だから』


 聖蛇姫の蛇髪が、ざわり、と揺れた。


『あんた、消えて』


 その蛇がいっせいに俺に向かってくる。


「くっ……!?」


 剣でその蛇を薙ぎ払うが、数が多すぎる。


 腕に、足に、無数の蛇髪が絡みつき、俺はあっという間に拘束されてしまった。

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