1 二か月後
あれから、二か月が経った──。
俺は翼を広げて滑空していた。
『気を付けて、ガルダ。また撃ってくるわよ!』
ナビが警告した。
『魔力充填のタイミングから計算すると、あと30秒後!』
分かった、残り10秒からカウントダウンを頼む。
『りょーかい!』
眼下には、直径十メートルほどの巨岩が三つ、転がっている。
──いや、それらは単なる岩じゃない。
『メガバスターロック』。
以前、何度か戦った岩型モンスター『バレットロック』の上位種である。
強固な防御力を誇り、貫通力の高い光線を連続で撃ってくる強敵だ。
危険すぎるので、ミラ、コレット、リーリアの三人には離れてもらっていた。
本当ならコレットかリーリアの魔法で援護をもらいたいところだが、『メガバスターロック』は近づく者すべてを薙ぎ払ってしまう。
だから、彼女たち三人には、敵の攻撃射程圏外に待機してもらっていた。
『ガルダ、残り10秒よ! 9、8、7──』
ナビのカウントダウンが始まる。
俺は空中を旋回しつつ、仕掛けるタイミングを計った。
『──3、2、1』
よし、ここだ!
俺は翼を畳んで降下を始めた。
同時に、スキル【対魔法鱗】の効果を全開にする。
俺が『若竜』から『成竜』へと進化したことで身に付けたスキルだ。
今の俺は『ダークエルダードラゴンⅣ』にまで進化していて、そのスキルの効力もかなり高くなっていた。
ヴ……ン!
俺の全身を包む鱗が淡く発光した。
ほぼ同時に、三体の『メガバスターロック』が無数の光線を撃ってくる。
が──無駄だ。
俺は光る鱗ですべて弾き返した。
胸や腹のあたりに鈍い痺れが走る。
いくら【対魔法鱗】でも『メガバスターロック』の集中砲火を完全に防御することはできないようだ。
鱗越しに重い衝撃が走り続ける。
なんとか──耐えるんだ。
俺はさらに降下した。
次々に放たれる光線が、一瞬途切れる。
『今よ、ガルダ!』
ナビが叫んだ。
ああ、分かってる!
俺は翼を力強く羽ばたかせ、降下速度を上げた。
次に光線を撃ってくるまでに数秒のタイムラグがあるはずだ。
その間に、仕留める。
スキル【爪撃裂破】!
これもエルダードラゴンになってから身に付けたスキルだった。
近接攻撃スキル【爪撃】の強化版である。
俺の前脚の爪が槍のように伸びていき、『メガバスターロック』の中心部を貫く。
さらに二撃、三撃──。
奴らの光線攻撃が再開される前に、俺は三体の『メガバスターロック』をすべて貫いた。
そのまま奴らは動かなくなる。
ふう、仕留めたか。
こいつはドラゴンブレス全体に高い耐性を持っているからな。
しかも強力な光線を次々に撃ってくるから、近づくのも一苦労だ。
なかなか手ごわかったが、何とか倒すことができた。
しかも、奴らのレアリティは5。
『進化の宝玉』を得られるな。
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