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暗黒竜王レベル1に転生 いずれ神も魔王も超えて最強の座に君臨する  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第5章 暗黒竜王の神殿

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16 暗黒竜王VS天翼覇竜6

『神殿のシステムを流用すれば、あなたの「精神力」を素材として「真の暗黒竜王」の体を形成できるわ』


 と、ナビ。


『ただし、完全体を再現するには「魂」や「精神力」の量がまるで足りない。生贄を捧げれば、また違うかもしれないけど──』


 生贄。


 その言葉に、俺は暗黒竜王の話を思い出した。


 かつて二度、俺は『真の暗黒竜王』の力の一端を具現化することができた。

 そのいずれもが、仲間の死という代償を経てのことだった。


 だが、今回は──いや、これからも。

 仲間を犠牲にして力を得る、なんて手段を使うわけにはいかない。


 絶対に。


 ──生贄は却下だ、ナビ。


『でしょうね。それなら、やっぱりあなたの「精神力」だけで戦うしかない』


 ナビが言った。


『そのためには──』


 と、一つの作戦を告げる。


 ……なるほど。

 うまく立ち回れば、いけるかもしれないな。


 そのためには──奴の注意を『本命の攻撃』から逸らすことだ。


『ミラ、これから奴を倒すために最後の攻撃をする』

「ドラゴンさん……?」

『協力してくれるか? コレットやリーリアに伝えてくれ』


 俺は作戦の詳細をミラに伝え、彼女がコレットとリーリアにそれを伝える。


『ふん、相談は終わったのか?』


 天翼覇竜が吠えた。


『いくらでも策を弄するがいい。俺はそのすべてを正面から叩き潰す。魔導王様の側近の誇りにかけて──』


 そして。

 最後の攻防が、始まる。




 俺はじりじりと天翼覇竜に近づいていく。

 ミラたちは後方待機だ。


『ふん、一対一か。まあ、たかが人間が今の俺に立ち向かうことなどできまい』


 人間を、侮るなよ。

 俺は奴をにらみつつ、さらに前進。


 天翼覇竜はまだ仕掛けてこない。

 俺がどう攻撃するのかを見極めるつもりか。


 あるいは、いたぶって殺そうというのか。

 どちらでも構わない。


 その余裕が──お前の命取りだ!

 俺はいきなり背後を向くと、青白いドラゴンブレスを吐き出した。


『むっ!?』


滅びの光芒ライトニングバニッシャー』を推進力にして加速しながら飛ぶ。


 天翼覇竜に向かって一直線に。


『特攻か? だが、貴様の体格で俺に太刀打ちできると思うな』


 体格は問題じゃない。


 くらえ、『大罪の火炎(ギルティフレア)』!


 俺は空中で体勢を変え、炎のブレスを吐き出した。

 さらに、


「【スキルブースト】!」

「【エクスブラスト】!」


 コレットとリーリアが連携して上級破壊呪文を繰り出す。


『同時攻撃か! だが、無駄だ!』


 そのすべてが奴の全身を覆う竜戦気に弾かれてしまう。

 さすがに、防御力が高い──。


 俺は爆炎に向かって突き進み、さらに距離を詰めた。

 ようやく肉弾戦の間合いだ。


 しかも、こっちは最高速に近い。


『本命は突進からの一撃か? だが、それも無駄だ』


 勝ち誇る天翼覇竜。


『しょせん、俺の竜戦気を貫くことはできん』


 ──どうかな。


 俺は右前脚を突き出す。

 スキル【爪撃】──発動!


『連携攻撃の間に距離を詰め、突進とスキルの合わせ技で一撃必殺──か? だが、それでも届かんよ。竜戦気の防御能力は──』


 俺は天翼覇竜の口上など無視し、ナビに合図を送った。


 いまだ、やれ!


『システム起動──ガルダ・バールハイトの「精神力」を「真の暗黒竜王」の肉体として再構成!』


 叫ぶナビ。


 ヴ……ン!


 神殿全体が低くうなるような音を立てた。

 同時に、俺の右前脚に黒い輝きがまとわりつく。


『それは──』


 天翼覇竜が驚きの声を上げた。

 俺の右前脚が数倍に巨大化し、先端部の爪が剣のように伸びた。


『真の暗黒竜王』の爪を使っての、攻撃スキル【爪撃】──。


 これこそが本命の攻撃だ。

 いくつも攻撃手段を重ねたのは、奴の意識をここから逸らすため。


 黒く輝く一撃が、天翼覇竜の胴体部を貫いた。


『ば、馬鹿な……!?』


 呆然とうめく天翼覇竜。

 深々と貫いた爪を引き抜き、俺は鱗の割れ目に向かってとどめのドラゴンブレスを連打する。


『滅びの光芒』が奴の体内を貫き、『大罪の火炎』が、奴の体内を焼き溶かした──。

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