13 暗黒竜王VS天翼覇竜3
天翼覇竜は神樹伯爵や機甲巨人と同じく、圧倒的なステータスを備えている。
さすがは魔導王の側近モンスターだ。
一体、どうやって攻略するか──。
俺はミラ、コレット、リーリアと攻撃の打ち合わせをする。
天翼覇竜はそれを待ってくれていた。
余裕を見せているつもりか。
だが──その余裕が、すぐにお前の命取りになる。
『作戦タイムは終わったか? なら、そろそろ俺の攻撃タイムへと移らせてもらうぞ』
天翼覇竜が吠えた。
「【ディーボルト】!」
リーリアが中級雷撃魔法を放つ。
『無駄だ! 俺に魔法は通じん!』
数条の稲妻はいずれも天翼覇竜の鱗に弾かれ、散った。
「【ディーファイア】!」
が、リーリアは諦めない。
今度は中級火炎魔法だ。
『ふん。さっきの結果で理解できなかったか? 俺の鱗は魔法を弾く──』
「【ディーウィンド】!」
今度は中級の風魔法。
『くどい!』
天翼覇竜は意に介さず、前進してくる。
「【ディーレイン】!」
今度は中級の水魔法。
が、当然、それも天翼覇竜の鱗に弾かれ、
「はあああああああああああああああああああっ!」
水流の向こう側から、ミラが一直線に飛びかかってくる。
空中を矢のように進んでいるのは、コレットの補助魔法を受けているからだ。
『何っ!?』
さすがに天翼覇竜も驚いたように動きを止める。
そう、リーリアが先ほどから魔法を撃っていたのは、奴の意識を引き付け、隙を作るため。
「スキル【剛剣】!」
ミラの繰り出した斬撃が天翼覇竜の鱗を裂き、鮮血が噴き出した。
『ぐ、おおおおお……っ!』
さらに俺が『災いの波動』を吐き出した。
敵の特殊防御を一定時間無効化するブレスだ。
「【スペルブースト】!」
「【エクスボルト】!」
魔法防御を失った天翼覇竜に対し、コレットとリーリアが連携して上級雷撃魔法を放つ。
『ぐがあああああああああああああああああああああああっ!?』
百近い稲妻に打ち据えられた天翼覇竜が絶叫した。
ぶす、ぶす……と全身のあちこちが焦げ、黒煙を噴き上げている。
いくら魔導王の側近モンスターとはいえ、今の連携にはダメージを受けたはずだ。
なおもリーリアが攻撃魔法を放つが、これは天翼覇竜のブレスに相殺された。
「効いてる……!」
ミラがつぶやいた。
「明らかにブレスの威力が弱まってます。かなりダメージを与えたみたいですね」
『かなりダメージを与えた、だと』
天翼覇竜がコレットをにらんだ。
『まさか、この程度で俺を倒せると思ってるんじゃないだろうな』
低い声でうなる天翼覇竜。
その全身から放たれる威圧感が、一気に数倍にも増した。
ダメージを与えたなんてとんでもない。
むしろ、奴は怒りと闘志を燃えたぎらせ、今まで以上の活力で挑んでくるだろう。
「ドラゴンさん……」
『ああ、分かってる』
最初から、今ので倒せるなんて思っていない。
むしろ、ここから始まるんだ。
本当の戦いが──。
『備えろ。ここからの攻撃を凌いで、逆転の目につなげるぞ』
俺はミラに告げた。





