12 暗黒竜王VS天翼覇竜2
今の姿のままで、あいつと戦う──。
できるのか、そんなことが?
『この場所──「暗黒竜王の神殿」限定で、ね』
と、ナビ。
『神殿にはあなたの魂を元にして暗黒竜王の体を形成するシステムがあるの。それはさっき見たわよね』
確かに、見たけど……。
思ったところでハッと気づいた。
まさか──。
『そ。神殿のシステムを起動して、あなたの体を「真の暗黒竜王」のそれへと進化させる』
できるのか、そんなことが?
もう一度、同じことをたずねる俺。
が、今度の質問には驚きよりも期待感が大きかった。
『私は竜王級鑑定スキルよ。まっかせなさーい!』
ナビが自信たっぷりに宣言する。
『私の力で神殿の魔導技術をすべて解析。それから起動するわ。ただし……起動には少し時間がかかるわね。それまでなんとか敵を引きつけておいて』
引きつけるって言われても──。
相手のサイズは俺の数倍ある。
肉弾戦ではさすがに厳しいだろう。
かといって、スピードでかき回そうにも、この狭い遺跡内では──。
「ドラゴンさん、何か作戦でも?」
ミラがたずねた。
『ああ、実は──』
さっきまでのナビとのやり取りを、かいつまんで説明する。
ミラがそれをコレットとリーリアに伝えた。
「時間を稼げばいいんでしょ? なら、あたしたちにもやれることはあるじゃん」
「私もだ。何も攻撃だけが魔法使いの仕事じゃないぞ、ドラゴン」
二人が言った。
「あたしも、やれることをやります。あなたの助けになるために」
さらにミラも。
『だけど──』
俺の脳裏に浮かんだのは、かつての仲間たちが無残に殺された光景だ。
焼き殺されたアビーと踏みつぶされたキュール。
今回も、また誰かが同じような目に遭わないとは限らない。
「戦いですから。死の危険は覚悟の上です」
ミラが微笑んだ。
「でも、その中であたしたちは生き残るために──各自がやれるだけのことをやるのでしょう? みんなで生き残るために、あたしたちにも役割をください」
「っていうか、あたしがそう簡単にやられるわけねーし」
「私とてそれなりの修羅場はくぐっているぞ」
コレットとリーリアも同じく微笑んでいる。
──分かった。
そうまで言われたら、俺だって覚悟を決めよう。
全員で、勝つぞ。





