10 よみがえる記憶と魂2
どくん、どくん、と『心臓』が不規則に脈を打つ。
ときおり、脈動が強まり、それにつれて心臓が少しずつ肥大化していく。
なんか、気持ち悪いな、これ……。
『まあ、実際には魂がこういう形をしているってわけじゃないんだけどね。あくまでも、あなたに理解しやすいように視覚イメージに変換されてるのよ。本来、魂には形なんてないし』
ナビが笑う。
この心臓、だんだん大きくなってきてないか?
『ええ。あなたの想念を糧にこの心臓は成長していく。成長が完了すれば、暗黒竜王の幼生としてあなたは新たな生を授かることになるわ」
俺の……想念?
『暗黒竜王の肉体を再形成するためには、人の魂と想念が原料になるの。それを少しずつ吸い上げ、新たな肉体へを変えながら、この心臓は成長している』
ナビが説明する。
『あなたが記憶のところどころを失っていたのも、暗黒竜王の肉体として想念が吸収される際、記憶の一部も一緒に吸い上げられていたみたいね。要は──転生の副作用ってところ』
そんな理由だったのか。
やがて心臓部はさらに大きくなり、肉体に覆われ、そして──。
転生したばかりの俺に代わった。
四肢のない蛇のような竜──『ベビードラゴン』だ。
懐かしい姿だった。
すべては、この姿から始まったんだ。
俺の新たな生も。
戦いも。
同時に、四方から光が降り注ぐ。
赤や青、黄色などの色とりどりの輝き。
『竜王たちの祝福、といったところね』
竜王……たち?
『暗黒、閃光、混沌、火炎、水燐、雷鳴、風翼──それらを称して七大竜王と呼ぶの。かつて神や悪魔、巨人たちと戦い、その果てに敗れ、この地から勢力を失った存在よ』
謳うように告げるナビ。
『そのうちの一体があなた。そして残る六体もこの世界のどこかに封じられ、あるいは潜んでいる……』
七大竜王、か。
『今の光は、残る六大竜王があなたの誕生を祝しているんでしょう。つまりこれで転生完了ということよ』
なるほど、俺はこうやって今の俺に生まれ変わったのか。
『覚えておいて、ガルダ。あなたの体を作り出しているのは、あなた自身の心よ。心が高まれば、あなたの力と体もまた──』
どごおおおおおおおおおおおおおおおおっ、ぉぉぉぉぉんっ!
すさまじい破壊音が響いたのは、そのときだった。
空に亀裂が走っている。
すでにナビは映像を解除しているみたいだから、これは現実の光景だろう。
割れた空の向こうから、巨大な竜が顔を出していた。
『やはり暗黒竜王の力を狙っていたか。だが、そうはさせん!』
竜が吠える。
『貴様の目論みはこの俺が阻止する! 魔導王さまの側近である、この「天翼覇竜」がな!』





