7 神殿到着
「これが──」
森の奥に、その建物があった。
石造りの古めかしい神殿。
暗黒竜王の神殿だ。
森林地帯のかなり奥まった場所にあり、周囲には強力なモンスターが何体も生息しているのを、空から確認した。
おそらく陸路で森に入っていたら、激しい戦いを潜り抜けなければ、ここまでたどり着けなかっただろう。
俺たちは空路だったおかげで、陸地にいるモンスターはほぼ無視し、最小限の戦いで到着できた。
空から襲ってくるモンスターもいなかったわけじゃないが、すでに『ダークヤングドラゴン』まで成長した俺は、なんとかこれらを撃破できた。
「では、進みましょうか」
ミラが言った。
「これが伝説の神殿……ふふふ、心躍るじゃないか」
冒険者らしく、リーリアが興奮した口調だ。
「キュールにも見せたかったな……」
と、機甲巨人との戦いで命を落とした相棒の名を口にする。
なんとなく、しんみりした空気になった。
「さっさと『暗黒竜王』の秘密を手に入れて、その後でキュールの墓に報告に行こ」
コレットが彼女の肩をポンと叩く。
「いい土産話を持ってかねーと、ね」
「──そうだな。ありがとう、コレット」
一礼するリーリア。
「行きましょう」
ミラが二人に、そして俺に向かって言う。
俺は彼女にうなずき、神殿を見据えた。
この中に『暗黒竜王』の秘密が、情報が、眠っているんだろうか。
俺はそれを手に入れて、『真の暗黒竜王の力』に近づけるんだろうか。
いや、近づき、手に入れてみせる。
来たるべき魔導王との決戦のために──。
神殿の内部は、かなり広く作られていた。
天井までの高さが優に二十メートルはある。
明らかに人間のために作られた神殿ではなかった。
ある程度のサイズのモンスターも入れるように設計されてるんだろう。
もっとも耐久力がある俺が前衛、コレットとリーリアが真ん中で、最後尾にミラ、という隊列で俺たちは遺跡内部を進む。
──道中、モンスターの襲来や罠の類はまったくなかった。
道筋も単純で、迷うことがない。
ナビ、ここはやっぱり『暗黒竜王』に関係する神殿なのか?
たずねてみた。
『……うーん、見覚えがあるような、ないような』
ナビの返答は歯切れが悪かった。
なんだよ、お得意の鑑定スキルで見通せないのか?
『それが変なのよ。私の力が上手く発動できない』
戸惑ったようなナビ。
『まるで神殿が鑑定スキルを妨害してるような──』
妨害?
どういうことだ、とたずねようとしたとき、
がらがらがらがらっ……!
突然、床が崩れ始めた。
「きゃあっ!?」
「えっ、何? 何?」
足場が完全になくなり、その下にはぽっかりと空洞が──。
「落ちる──」
俺たちはまとめて落下していった。





