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暗黒竜王レベル1に転生 いずれ神も魔王も超えて最強の座に君臨する  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第5章 暗黒竜王の神殿

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6 天翼覇竜、出撃

 SIDE 魔導王



「暗黒竜王がエレノアに戻ってきた」


 魔導王がうめいた。


「すでに神樹伯爵に続いて、機甲巨人も討たれた。暗黒竜王の力──不完全とはいえ、やはり侮りがたい」

『幹部モンスターも残るはあたしたちだけか~』


 言ったのは、十代前半くらいの可憐な少女だった。

 その髪は無数の蛇でできている。


 石化魔女(メデューサ)の眷属、『聖蛇姫(せいじゃき)』だ。


(そうだ、側近は残り二体……)


 樹木型モンスターの『神樹伯爵』に超巨大ゴーレムの『機甲巨人』。

 いずれも暗黒竜王に討たれてしまった。

 一騎当千の戦闘能力を備えていた二体の損失は大きい。

 とはいえ、


(配下などまた作ればよい。手間さえかければ、いずれ奴らと同レベルのモンスターは作成可能だ)


 だが、暗黒竜王はそうではない。


 いかに世界最強の魔法使いである彼とて、作成など不可能。

 神や悪魔と同等の──あるいはそれ以上の、超越者なのだ。


 だからこそ、欲しい。

 たとえ配下のすべてを犠牲にしても、なんとしても。

 と、


『報告によれば、我が配下──ヤングドラゴンの一隊が全滅したとのこと。奴もヤングドラゴン級に成長しているようですが、その戦闘能力はエルダードラゴン級か、それ以上かもしれません』


 上空から巨大な竜が告げる。

 エルダースカイドラゴンの『天翼覇竜(てんよくはりゅう)』である。


 成竜(エルダードラゴン)とはいっても、彼は魔導王による魔導改造を施された特別製で、戦闘能力なら老竜(シニアドラゴン)をも凌ぐ。


「奴はラシェルからエレノアに入った。わざわざ戻ってきたのは、余の居城まで一直線に攻め入って来るのか、あるいは──」


 魔導王は感知呪文【エクスサーチ】を唱える。

 彼らの存在を感じ取り、その進行方向を見切る。


「……方角が違うな」


 魔導王は眉を寄せた。


「奴め、『神殿』に行くつもりか」

『神殿?』


 きょとんと首をかしげる『聖蛇姫』。


「千年前、暗黒竜王はこのエレノア王国で復活した。その出現場所の跡地に、神殿が建立された。それが『暗黒竜王の神殿』だ」


 魔導王が説明する。


「そこには『暗黒竜王』に関する様々な情報が眠っている」

『つまり、奴は己の力を解明するために──より強大な力を得るために「神殿」へ向かっている、と?』


 たずねる『天翼覇竜』。


「だろうな。『天翼覇竜』よ、汝の飛行能力ならば先回りできよう。奴を迎え撃て」


 魔導王が命じる。


「これ以上、奴を成長させるわけにはいかん。『神殿』行きを阻止し、その上で生け捕りにするのだ。できるか?」

『我が忠誠にかけて!』


 言うなり、『天翼覇竜』はすさまじいスピードで飛び去っていく。


「頼むぞ」


 魔導王は小さくつぶやいた。


『天翼覇竜』の戦闘能力は、軍団でも随一だ。

 それでも──もはや絶対に勝てるとは言えない。


「奴がここまで来るかもしれん。そのための『準備』を進めねばならぬな」


 暗黒竜王との最終決戦に備えて。


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