18 暗黒竜王VS機甲巨人4
俺の姿が、変化する。
神樹伯爵戦と同じく、無数の刃で構成されたような鋭角的なフォルムの黒い竜だ。
俺は真紅の瞳でまっすぐに機甲巨人を見据えた。
『な、なんだ……!? さっきとは雰囲気が──』
機甲巨人がうろたえたように後ずさる。
『雰囲気が変わった……!?』
変わったのは雰囲気だけじゃない。
それを今見せてやる──。
ごうっ!
俺はブレスを吐き出した。
まずは牽制の一撃。
基本攻撃ともいえる『滅びの光芒』である。
『ぐっ、がぁぁぁぁぁぁぁっ!?』
その一撃だけで、巨人の左腕が消滅した。
『な、なんだ、この威力は──魔導王様からいただいた不可侵の体が……!』
不可侵だって?
そんな程度で不可侵というのなら──。
俺のブレスは、それを一億回程度は粉砕できるだろう。
『貴様ごときが、この俺を……偉大なる魔導王様に生み出された、唯一無二の存在であるこの俺を』
「唯一無二? 随分と御大層だな」
俺は奴に語りかけた。
本来、竜である俺は人の言葉を発せない。
だが『真の力』を解放した今なら、数百数千のスキルの中から【人語発声】や【意思疎通】などを使って、これくらいの真似は簡単にできる。
『しゃべった……!?』
「お前を殺す前に伝えておきたくて、な」
俺は傲然と機甲巨人を見下ろした。
『伝えるだと? 何をだ?』
「お前を殺す者の名だ」
俺は静かに告げる。
「ガルダ・バールハイト。お前たちに蹂躙され、虫けらのように潰された男の名だ」
『な、何……?』
「人間たちを容赦なく殺してきたお前が──今度は俺によってゴミのように殺されるんだ」
『人間どもを殺してなぜ悪い! 俺はそのために作られた!』
巨人が吠える。
『だいたい、あんな連中はいくらでも生まれてくる! 代わりなどいくらでもいる!』
「代わりなんて、いない」
俺は静かに首を振った。
かけがえのない仲間たちだった。
そして、彼女たちはもう戻ってこない。
『だったら、どうする? この俺を破壊するのか? それなら、お前も殺戮者ではないか!』
「そうだ。俺もお前たちと同じ──魔獣になる」
俺は口を開いた。
すべてを滅ぼす力を持つ、最強の魔獣に。
魔導王やその軍団を歯牙にもかけない最強の竜に。
俺は、その領域にたどり着く。
「だからお前は、ここで消えろ」
『ひ、ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ、助けてくれぇぇぇぇぇぇっ!』
うろたえる機甲巨人を冷ややかに見据え、俺は『終末の極光』を放った。
すべてを消滅させる最強のドラゴンブレスを。
黒い輝きの中に、巨大な体が溶け消えていく。
あっけないほど簡単に。
奴の存在そのものが飲みこまれ、まさしく虫けらのように消えていく。
──見てるか、カレン、みんな。
俺は巨人によって無惨に殺された彼女たちのことを思った。
仇は討ったぞ──。
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