16 暗黒竜王VS機甲巨人2
『──ふん』
だが、機甲巨人もさすがに魔導王の側近である。
貫通特化のドラゴンブレスは、奴の表面装甲にあっさりと弾き散らされた。
『貫通力が足りんな。神樹伯爵はこんな奴にやられたのか……?』
訝しげに俺をにらむ巨人。
『あるいは──奥の手でも隠し持っているのか?』
俺は答えず、さらにブレスを放つ。
だが、やはりさしたるダメージは与えられなかった。
さすがに、固いっ……!
『どうした、打つ手なしか?』
巨人が体を揺らして笑う。
『なら、はたき落してやろう、お前など俺から見ればハエのようなものだ』
人をハエ呼ばわりするんじゃない。
……いや、今の俺は人じゃなくて竜か。
と、巨人が平手打ちを繰り出してきた。
文字通りのハエ叩き。
俺は翼を思いっきり羽ばたかせ、急旋回した。
直撃は避けたものの、直後に突風が押し寄せ、俺は空中でバランスを崩す。
『気を付けて、ガルダ。あいつの一撃は風を起こして気流を乱れさせるよ』
ナビが警告した。
『乱気流の中で上手く飛ぶのは、まだ慣れてないガルダには難しいはず……』
「……だな」
うなずく俺。
直撃を避けても、気流の乱れで動きが鈍ってしまう。
そこを狙われて、第二撃が来たら──。
俺は空中で後退して巨人から距離を取った。
『なんだ、臆したか?』
まだだ……!
俺は翼に力を込め、急降下を開始した。
全力の羽ばたきに重力の加速もプラスして、最高速で突っこむ。
そのままブレスを吐き出した。
使用したのは『大罪の火炎』。
爆光と爆炎が周囲にあふれる。
『無駄だ! お前の攻撃では俺の防御と耐久は破れん』
──だろうな。
俺は内心でほくそ笑みつつ、急旋回する。
『これは……み、見えん……!?』
巨人が戸惑った。
そう、今のブレスは攻撃目的じゃない。
相手の視界を奪うための一手。
そして本命は、今から放つブレスだ。
これなら──!
俺は奴の胸元付近に『滅びの光芒』を放った。
さらに『大罪の火炎』を、『大罪の氷雪』を、続けざまに浴びせる。
手持ちのドラゴンブレスの乱れ撃ちである。
先ほどとは比べ物にならない、すさまじい閃光が周囲に広がった。
大爆発だ。
いくら奴が圧倒的な耐久性を誇ろうとも、これだけの攻撃を集中させれば──。
『おの……れ……』
黒煙の中から、巨大なシルエットが現れる。
えっ……!?
俺は驚きに目を見開いた。
巨人の姿が、変わっていた。
全身の装甲のあちこちが開いている。
そこからあふれる真紅の輝きが、大地をえぐり、大気を焼く。
あれは──。
『魔力の輝き、ね』
ナビが言った。
『たぶん、普段は内部に貯蔵してるんでしょう。それを一気に燃焼する際、余剰エネルギーがああして発光して周囲に振り撒かれているのよ』
余剰エネルギーだけでもすさまじい魔力みたいだけど……。
『ええ、ここからが全開、ってことよ』
ナビが言った。
『俺の体を覆っている材質は単なる装甲ではない。真の力を抑えこむためのリミッターだ』
機甲巨人が語る。
なるほど、ナビの話と一致する説明だ。
『なぜ、抑えこんでいるか分かるか? 全力を出すと、あまりの破壊力に周囲には何も残らんからだ』
巨人の全身から、さらに鮮烈な輝きが立ち昇った。
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