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暗黒竜王レベル1に転生 いずれ神も魔王も超えて最強の座に君臨する  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第4章 新たな旅路

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15 暗黒竜王VS機甲巨人1

 さながら、絶対不可侵──。

 まったく歩みを止めることなく、機甲巨人は進み続ける。


「こ、こっちですぅ!」


 キュールが走り出した。

 素早い動きで巨人を惑わせつつ、背後に回りこむ。


 足首のあたり──ちょうどパーツの継ぎ目に斬撃を叩きつけた。


 やるな。

 俺は感嘆した。


 あれだけ巨大な相手を前にしても一歩も臆さない勇気。

 そして相手の死角に潜りこむスピード。

 年若いが一流の剣士だ。


 ぎしりっ……。


 表面装甲が歪み、継ぎ目に亀裂が走り──。


 一瞬で、再生した。


「えっ……?」


 呆然と立ち尽くすキュール。


『我が体は不可侵だ。魔導王様にいただいた究極の素材でてきている、ゆえに──何人たりとも傷つけられん』


 巨人が体を揺らして笑う。


『そら、今の一撃に罰を与えてやろう』


 まずい!

 俺は慌てて飛び出そうとするが、距離が遠すぎる──。


「ひ、ひいいいいっ、助け……ぶぎゃ……ぁ……」


 恐怖の絶叫は、肉と骨が一緒くたに潰れるような音によってかき消された。


「あ……ああ……」


 リーリアが呆然とした顔でへたり込む。

 股間にじわりと染みが広がっていった。


 視線の先には、原形を止めぬほどにつぶれてしまったキュールの姿。


 そう、あの日──無惨に殺されたカレンと同じように。


 若く美しい少女剣士は、ただの潰れた肉塊へと姿を変えていた──。


「キュールが……キュールがぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 リーリアが絶叫した。

 失禁したまま立ち上がれないようだ。


「殺される! 私たちはみんな殺されるんだ! ひいいいい、助けて、神様あああああああああああっ!」

「──大丈夫です、リーリアさん」


 ミラが静かな声で彼女を諭した。


「まず落ち着きましょう。簡単に心は静まらないでしょうけど、落ち着く努力を。そして考えましょう。あたしたち全員が生き残る道を」

「キュールは死んだ。まずそれを受け止めて」


 と、コレット。


「そのうえで──あいつへの対抗策を練るの。あたしたちみんなで」

「うううううう……」


 恐怖からか、絶望からか、リーリアは歯をガチガチと鳴らしたまま動かない。

 このまま逃げずにとどまっていたら、全員が機甲巨人に踏みつぶされるだろう。


 それこそ、さっきのキュールのように。


「ここは俺が奴を引きつける! そっちは頼むぞ,ミラ!」


 唯一、俺と意思疎通ができるミラにそう叫び、翼を広げる。


 スキル【大飛行】発動。

 俺は空中100メートル近くまで一気に飛び上がると、ドラゴンブレス『滅びの光芒』を放った。


 進化したおかげで、今の『滅びの光芒』は基本攻撃がLV2相当になっている。

 以前はクールタイムが発生したが、それもゼロである。

 要は、いくらでも連発できるのだ。


 貫け!


 湧き上がる闘志と殺意を込めて、俺はブレスを吐き続けた。


 螺旋状に回転する光線が、雨あられと降り注ぐ。

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