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暗黒竜王レベル1に転生 いずれ神も魔王も超えて最強の座に君臨する  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第4章 新たな旅路

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14 出現

 俺はミラたち四人を乗せて空を進む。


 全身に受ける風の感じが、少しずつ変わってきた。

 カラッと乾いた爽やかな風が、少しずつ湿度を含んだ寒風へと。


 眼下の風景も、一面の草原から次第に切り立った岩や山が増えてきた。


「もうすぐだね」


 コレットが言った。


「ああ、情報が確かなら、この先にあるのが目指す『暗黒竜王の神殿』だ」


 と、うなずくリーリア。

 彼女たちはウマがあうのか、この旅の間に随分と仲良くなったようだ。


「リーリアは他人とめったに打ち解けないのに珍しいですぅ」


 キュールが笑う。


「はは、なんだかコレットとは妙に話しやすくてな」

「あたしも同感。リーリアと話してると楽だね」


 微笑み合う二人。

 美少女二人が笑みを交わし合っている様は、非常に絵になる。


 ──と、そろそろ【大飛行】の航続限界だな。


 俺は羽ばたくのをやめて滑空モードに入った。

 翼の角度を調整しつつ、軟着陸する。


 この辺りの飛行技術は知識として教わったわけじゃない。

 俺自身の体が飛び方を熟知している──という感覚だ。


「今の待機時間が終わったら、さっそく飛行再開しないか」


 と、リーリア。


「うまく行けば、次の飛行時間内に目的地まで着けるんじゃないか」


 さっきまでの歓談モードから、ふたたび普段のクールモードに変わっている。


「ここまでありがとうございました、ドラゴンさん、もう一息ですからがんばってくださいね」


 ミラが俺の頭を撫でてくれる。


 というか、彼女は俺が休息するごとにこうして声をかけ、頭を撫でてくれていた。

 気遣ってくれてるんだろう。


 優しい心根は、姉のカレンそっくりだった。




 ごごごごごごごごっ……ぉぉぉぉっ……!




 突然、地響きがした。

 これは──?


「み、見てください、あれを……!」


 ミラが震える声で言って、前方を指さした。

 コレットも、リーリアも、キュールも、息を呑んでいる。


 最初、それは山に見えた。

 前方にそびえる、雄大な山。


 だが、違う。

 その山はゆっくりと前進し、近づいてくる。

 その山は手足を備え、胴を備え、憤怒の表情を浮かべた顔を備えていた。


 巨人。


 そう、身長100メートルを超えるような巨大な人形だ。


『ここから先へは行かせんぞ、お前ら!』


 巨人が吠えた。


 こいつは──。

 俺は全身が炎のように燃え上がるのを感じた。


 湧き上がる激情──。

 怒り、憎しみ、悲しみ、喪失感。


 こいつは──あの日、王国を襲った巨人の一体。

 身長100メートルを超えるゴーレムは他にいなかったし、間違いはないだろう。


 カレンの、仇だ。


『俺は魔導王様の側近「機甲巨人(きこうきょじん)」!』


 奴が名乗る。

 魔導王の側近……つまり、以前に戦った神樹伯爵と同レベルのモンスターか。


『そこの竜に用がある。俺とともに来てもらおう』


 俺に……?

 巨人の言葉に訝しむ俺。


『残りは不要だ。今、まとめて踏みつぶしてやろう──』


 機甲巨人が踏み出す。


 そう簡単にミラたちをやられてたまるか。

 だがあの巨体に生半可な攻撃は通用しないだろう。

 手持ちの攻撃スキルをあらためて確認してみる。


滅びの光芒ライトニングバニッシャー』LV4。

災いの波動(カラミティウェーブ)』LV3。

大罪の火炎(ギルティフレア)』LV1。

大罪の氷雪(ギルティフリーズ)』LV1。


 以前よりステータスもスキルの力も上がっているとはいえ、魔導王の側近クラスを相手にどこまで通じるか。

 今の──『真の力』を使えない状態の俺で、どこまで戦えるか。


 ええい、考えていても仕方がない。

 まずはぶつけてみるんだ、俺の全力を。

 その上で次の策を練るしかない。


 俺は大きく飛び上がった。


 使用したスキルは【大飛行】でなく【飛行】の方である。

 スキル【大飛行】は航続距離は長いがクールタイムも相応に長い。

 戦闘においては通常の【飛行】のほうが使い勝手がいい。


 スピードなら、俺の方が上。

 空中を不規則に飛び回りつつ、巨人の死角からブレスを放つ。


 まずは『滅びの光芒』だ。

 が、俺が放った青白い光線は、巨人の表皮にあっさりとはじき返された。


「通じない──」


 俺が思った以上に機甲巨人の防御力はすさまじいようだ。

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