5 最初の進化
『バレットロック×6を撃破。経験値186を取得』
『レベルが6に上がりました』
例によってナビが平板な音声で告げる。
一気にレベルが6まで上がったのか。
そういえば……あの人間たちはなんだったんだ?
『冒険者みたいね。この辺りは危険なモンスターがたくさんいるし、中には人里に降りてきて被害をもたらす眷属もいるわ。そういうのを狩りに来たんじゃないかしら?』
と、ナビ。
今さらだけど、この森はモンスターの生息区域なのか?
『そうよ。場所はラシェル王国北部。名称は「魔獣の森」。凶悪なモンスターが多数生息する、大陸でも有数の危険地帯ね』
ラシェル王国の魔獣の森……聞いたことがあるな。
確か、エレノアから国を二つくらい隔てた場所だ。
『ただ、バレットロックは人里まで降りてくるタイプじゃない……というか、そもそも移動自体できないしね。他の目的があったのかもしれない。まあ、全滅しちゃったからこれ以上のことは分からないわね』
ああいう連中がもし他にもいるなら──俺も見つかったら狩られるのかな?
『んー……あなたは弱そうだし見逃されるかもね。仮にあなたを殺しても、大した経験値にはならないでしょうし』
確かに俺の外見は普通の蛇と大差ない。
体のサイズもモンスターとしてはごく小さい部類。
脅威とは見なされにくいか。
『ま、気まぐれにあっさり殺されるかもしれないけどね。あはははは』
いや、笑いごとじゃないだろ。
まあ、弱そうだからって見逃されるとは限らないよな。
とにかく、この森で気をつけなきゃいけないのは、他のモンスターだけじゃない。
さっきの冒険者みたいにモンスターを狩りに来るものがいれば、そいつらも警戒しなきゃな。
とりあえず──今の経験値で俺のステータスがどれくらい変わったかを確認しよう。
見せてくれ、ナビ。
『りょーかい。【ステータスオープン】!』
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称 号:暗黒竜王
種 族:ベビードラゴン
形 態:スネークタイプ
L V:6
H P:23
M P:35
攻撃力:26
防御力:23
素早さ:34
★ :7
〇所持スキル
【鑑定(竜王級)】LV1
【噛みつき】LV1
【体当たり】LV1
【滅びの光芒】LV1
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おお、一気にレベルが6になった。
4レベルアップである。
それに伴い、ステータスの数字も軒並み上がっていた。
やはりバレットロックを6体倒すと、それなりの経験値になるみたいだ。
ただスキルレベルに関しては変わっていない。
まあ、さっきの戦いでは【噛みつき】も【体当たり】も使わなかったしな。
【滅びの光芒】は奴らを倒すために計六回使ったけれど、これくらいじゃスキルレベルは上がらないのか。
それともスキルによって条件は違うのか。
そして、さらに──。
『「進化の宝玉D」×6を取得しました。進化ポイントが18貯まりました』
『既定の進化ポイントが貯まったため、進化可能です』
『進化先候補を表示します。進化を希望する場合、そのどれかを選択してください』
ナビが平板な声で説明する。
おお、ついに進化可能になったのか!
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〇進化先候補
『リトルダークドラゴン』
暗黒の力を備えた子竜。古竜クラスまで成長することで、あらゆる【闇】を統べる存在になる可能性を秘めている。
称号『暗黒竜王』を持つ場合、一定条件下でステータスが大きく底上げされる。
『リトルファイアドラゴン』
炎の力を備えた子竜。ブレスの威力は他を寄せつけない最強レベル。成長するにつれ、その火力はさらに上がっていくだろう。
称号『火炎竜王』を持つ場合、一定条件下でステータスが大きく底上げされる。
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うーん……『リトルダークドラゴン』のほうが能力説明が漠然としているな。
あらゆる【闇】を統べる存在と言われても、具体的にどうなるんだ?
対して『リトルファイアドラゴン』の説明は明快だ。
こいつのドラゴンブレスは他のドラゴン種族と比べて威力が高く、成長すればさらに火力が上がる……ということか。
ただし、最後の一行が気にかかる。
それぞれ称号を持っていると、一定条件下でステータスが大きく底上げされる──。
一定条件っていうのが、どういうものかによるが……。
『それは私の知識内には情報がないわね』
と、ナビ。
ん、こういう答えは初めてかもしれないな。
割となんでも知ってるイメージだったナビだけど、知らないこともあるのか……。
進化先っていうのは、一度選んだあとに、別のやつを選び直すことはできるのか?
ナビに質問してみた。
たとえば『リトルダークドラゴン』を進化先に選んだあと、やっぱり気に入らなくて『リトルファイアドラゴン』を選び直す……っていうことは可能か?
『不可能よ』
あっさりと否定された。
まあ、割と予想通りだったりする。
さて、俺はどっちを選ぶべきか──。
考えた末、決断した。
ナビに呼びかける。
俺を『リトルダークドラゴン』に進化させてくれ、と。