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暗黒竜王レベル1に転生 いずれ神も魔王も超えて最強の座に君臨する  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第4章 新たな旅路

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3 内なる境界1

 ミラの前方には二人の男女がいた。


 一人は、きらびやかな鎧をまとった青年騎士。

 もう一人は、露出度の高い格好をした踊り子のような美女。


「お前……は……?」


 騎士がこちらを振り返る。


 灰色の髪に青い瞳、精悍な顔立ち。

 細身だが引き締まった長身の青年だ。


「あなたは──」


 知っている相手だ。

 話したことはないが、騎士団の任務で一緒になったことがあるし、何よりも彼の勇名は王国内に轟いていた。


 ガルダ・バールハイト。

 エレノア王国最強の騎士にして、『騎士の中の騎士』とまで称される男。


 そして──それだけではない懐かしさがあった。

 彼の瞳が、記憶にある別の者の瞳に重なる。


「まさか──」


 震える声でつぶやく。


「ドラゴンさん……!?」


 心臓の鼓動が高鳴る。


「あなたは……ドラゴンさん、なのですか……?」


 つぶやいた直後、自分でも何を馬鹿なことを言ってるんだろう、と思い返す。


「す、すみません、あたしったら……ガルダ様になんてことを──」


 青年──ガルダがミラを見つめる。

 最強の二つ名とは裏腹に、その瞳に宿る光は柔和だ。


「あたしはミラといいます。エレノア王国騎士団の一員です。ガルダ・バールハイト様、お目にかかれて光栄です」


 ミラが一礼した。


「実はあなた様と一度、任務で一緒になったことがあるのですが……覚えておいででしょうか」

 つい聞いてしまう。

「ん、そういえば──」


 ガルダが目をしばたかせた。


「そうか、カレンの妹か……」


 と、小さくつぶやいた。


「ただ、名前はよく知っている。ドラゴン状態のときも、お前たちのことを見ていたからな」


 ガルダが微笑んだ。


「っ……!」


 ミラは息を呑んだ。


 では、やはり──。

 彼こそが、あの『ドラゴンさん』だったのか。


    ※


「俺……は……」


 ぼんやりと薄れていた意識が徐々に覚醒していく。


 俺は一体何をやっていたんだろう?

 俺は一体どうなっていたんだろう?

 俺は──。


 思考を巡らせたところで、ハッと気づいた。

 自分の体を見下ろす。


 そこには──人間の腕が、足が、見えた。


「な、なんだ……!?」


 ドラゴンの体じゃない。


 まさか──俺は人間に戻ったのか?


「少し違うわね」


 声がした。

 ナビだ。


 ──いや、それも違う。


 普段のナビは俺の頭の中に声が響く。


 だけど今のは──背後から『肉声』のように聞こえてきた。


 まさか……!?


 俺は驚いて振り返る。


 そこに立っていたのは、一人の少女だった。


 褐色の肌に銀色の髪。

 露出の多い踊り子のような格好をしている。

 血の色をした瞳が俺を見つめていた。


「お前は……?」


 たずねながら、俺は半ばその答えを予感していた。


「やだなー、ナビだよ」


 彼女が快活そうな笑みで、予想通りの答えを返す。


「正確には【竜王級鑑定スキル】の擬人化インターフェースなんだけど、今まで通りにナビって呼んでくれていいよ」


 擬人化インター……?


 彼女の言葉の意味はよく分からなかったが、とりあえずナビと呼べばいいらしい──。

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