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暗黒竜王レベル1に転生 いずれ神も魔王も超えて最強の座に君臨する  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第4章 新たな旅路

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1 暴走

 SIDE ミラ



「ドラゴンさん、どうしちゃったんですか!?」


 ミラは呆然と叫んだ。


 突然、小竜の姿が変化したかと思うと、圧倒的な力で神樹伯爵を撃破した──そこまではいい。

 だが、小竜──いや黒竜はなおも攻撃をやめず、周囲を破壊し始めたのだ。


 ドラゴンブレスをあたりに吐き散らしている。

 周囲の木々が炎に包まれていた。


 このままでは、自分たちは焼け死んでしまう──。


「【ライフシェルター】」


 コレットが僧侶呪文を唱えた。

 半透明の薄青色のドームが、ミラとコレットの周囲を覆う。


「生命維持用の防御フィールドよ。攻撃に対しては弱いけど、毒や呪いといった有害なもの全般を遮断してくれる。もちろん、火事の煙もね」


 と、コレット。


「この中なら少なくとも数時間は呼吸ができるから、まずこの中で持ちこたえよう」

「わ、分かりました」


 答えつつ、ミラはふたたび黒竜を見た。


 黒竜は手当たり次第にドラゴンブレスを放ち、森を燃やしていた。


 先ほどまでは、あの竜のことを味方だと──仲間だと感じていた。

 実際、連携してモンスターを退けたりもしたのだ。


 だが今の黒竜は、そんな雰囲気ではなかった。


 すべてを破壊する──。

 そんな強烈な意思が押し寄せてくるようだ。

 と、


 ぐうおおおおおおおおおおおおおおああああああっ!


 雄たけびが響いた。

 一つや二つではない、数十数百単位の雄たけびである。


 次の瞬間、木々の向こうから無数のモンスターが殺到した。


 ウッドゴブリンにスパイクウルフ、ビッグオーク、マッドゴーレム、バジリスクにサラマンダー……多種多様なモンスターが黒竜に向かってくる。


 おそらくは黒竜に引き寄せられてやって来たのだろう。

 もしかしたら、神樹伯爵の手勢かもしれない。


 るおおおおおおおおおおおんっ!


 黒竜が黄金の稲妻に似たブレスを吐き出した。


 その射線上にいたモンスターがことごとく消滅する。

 すさまじい火力だった。

 燃えていた木々も、まとめて消滅してしまう。


「あれは──神樹伯爵を倒したドラゴンブレス!?」


 そんなものを乱射されたら、巻き添えで自分たちも消し飛ばされかねない。

 ゾッとなった。


 黒竜はなおも残ったモンスターたちを次々とブレスで消し飛ばしていく。


「やめて、ドラゴンさん!」


 ミラは必死で叫んだ。


「お願い──」


 自然と涙がこぼれた。

 なぜだか、破壊本能のままに暴れまわる黒竜の姿が物悲しく見えた。


 さっきまでの黒竜に戻ってほしい。

 その願いを一心に込めて、


「ドラゴンさん、目を覚まして!」


 叫ぶ。


 だが黒竜はなおもブレスを放ち続け──、


 るおおおお……ん……。


 不意に、その動きを止めた。


 こちらを振り返り、ミラを見つめる。


「ドラゴン……さん……?」


 竜の瞳がわずかに揺れている──ように見えた。


 直後、竜はミラたちが己の背後に隠れるような態勢を取り、ふたたびブレスを吐き始める。


 竜の背に隠れ、ブレスの熱や衝撃波がほとんど来ない。

 これなら破壊の嵐の中でも、最小限の余波ですむだろう。


「まさか、ドラゴンさん──」


 ミラは驚いて黒竜を見上げる。

 自分たちが巻き添えにならないように注意しながら、モンスターを掃討している……?




「──見つけたぞ、暗黒竜王」




 突然、前方で声がした。


 木々の向こうから、剣士や魔法使いの一団が現れる。

 先頭に立っているのは赤い髪をした少年。


「勇者パーティ見参、ってね」


 少年がニヤリと笑った。


「さあ、竜退治の時間だ──」

次回は5月9日更新です。それ以後は3日ごとくらいに更新予定。カクヨムのほうが1話早く更新していく感じです(内容はなろう、カクヨムともに同一です)


【20.5.10追記】

↑5月9日更新は5月10日更新の間違いでした……すみません(´・ω・`) カクヨムより1話遅れで更新していく感じで一つ……おなしゃすおなしゃす

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― 新着の感想 ―
[一言] 勇者なのに魔導王倒しに行かないゴミである
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