4 進化への道程
「進化……?」
確か、前にも説明を受けたな。
特定のモンスターを倒すと『進化の宝玉』を得られる。
それによって『進化ポイント』という数値がたまり、既定の数値を超えると、そこで進化できる。
……という感じだったはずだ。
その『特定のモンスター』ってのは、どんな奴なんだろう。
『具体的には一定のレアリティ以上のモンスターを指しているの』
レアリティ?
『モンスターにはその強さや成長性、希少性などに応じて「レアリティ」というものがあるのよ。これは鑑定スキルによって見ることができるわ』
と、俺の疑問に答えるナビ。
『レアリティは★と数字によって表されるの。この数字が大きいほどレアリティが高いことになるわね。ちなみに最高値は7よ』
ん、★……?
あ、鑑定すると最後に表示される★って項目はレアリティを指してたのか。
『そういうこと』
ナビが言った。
えっと……俺の★って確か7だったよな。
『それはそうよ。あなたはモンスターの頂点ともいうべき存在──竜王だもの』
ナビが当然といった口調で言った。
俺は最高レアリティのモンスターなのか……。
『で、話は戻るけど、「進化の宝玉」を得られるレアリティは4以上よ。レアリティが高いほど、より高価値な宝玉が手に入るの。つまり「進化ポイント」を多く得られるということね』
じゃあ、まずは★4以上のモンスターを探さないとな。
俺は森の中を進んだ。
『あ、いたわよ。おあつらえ向きの相手ね』
しばらく行くと、ナビが言った。
いたって、どこに?
『ほら、前の方にいるでしょ?』
と、ナビ。
そう言われても、でかい岩がごろごろしてるだけなんだが──。
『バレットロックよ』
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称 号:殺戮の射手
種 族:バレットロック
形 態:無機物
L V:8
H P:50
M P:90
攻撃力:41
防御力:67
素早さ:0
★ :4
〇所持スキル
【光弾】LV5
【擬態】LV7
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なるほど、こいつは★4──つまり、倒せば『進化の宝玉』を入手できるわけか。
『そういうこと。最初から★6とか7の相手なんて無謀すぎるし、手ごろな相手じゃないかな』
と、ナビ。
『といっても、バレットロックだって決して雑魚じゃないわ。少なくともさっきのブルーゴブリンなんかよりずっと格上』
なるほど……。
『戦うなら、ちゃんと対策を考えてからね』
と、そこまで話していると、ガサガサという茂みをかき分ける音が聞こえてきた。
何かが近づいてくる──?
『全部で五人……いずれも人間ね。冒険者じゃないかしら』
と、ナビ。
冒険者?
俺は茂みに身を潜めた。
前方から、五人の冒険者が現れる。
戦士風の男が二人に魔法使い風の男女が二人、残りの一人は僧侶風の女だ。
「へえ、これがバレットロックか」
「あたし、初めて見た」
「そいつは【光弾】を撃ってくるぞ……気をつけろ」
などと冒険者たちが話している。
「へっ、しょせんは岩だろ」
「遠距離から魔法で破壊すればいいのよ」
魔法使い風の男女が火球や雷撃を放った。
直後、それを圧する閃光があふれる。
「がっ!?」
「ぐああっ……」
岩からほとばしった輝きが無数の弾丸と化し、冒険者たちを次々に貫く。
バレットロックのスキル【光弾】だ。
彼らが囲んだ岩からだけでなく。
周囲に転がる無数の岩から、いっせいに放たれる。
その数は十や二十じゃない。
まさしく回避不能の光弾の雨──。
むせ返るような血の匂いが漂った。
全員、頭や手足を吹き飛ばされ、無残な肉塊となってその場に転がっていた。
なかなか凄惨な死体である。
しかし、あれだけの数の岩が同時に光弾を撃ってくるのか。
これじゃ、避けようがないな。
『まさしく数の暴力ね。初見じゃ対処するのは難しいと思う』
初見じゃ……か。
ん、待てよ。
ナビ、お前はあの岩の中のどれがバレットロックなのか見分けられるか?
『もちろん。私は鑑定スキルだもん』
じゃあ、教えてくれ。
それとあいつらが光弾を撃ってくる方向って決まっているのか。
『一体ごとに角度が決まっているわね』
なら、避けるのは簡単だ。
あいつらの攻撃が及ばない死角があるはずだろ。
『んー……ちょっと探してみるわね。軌道計算が多少面倒だけど』
言って、しばらく沈黙するナビ。
がんばれ、ナビ。
お前が奴らの攻撃軌道を計算できれば、その死角から近づいて確実に倒せるはずだ。
何せ、相手は岩である。
その場から動けないだろうから、光弾を受けずにこっちのブレスの射程まで近づくことができれば、俺の勝利は確定する。
『分析完了よ。敵の攻撃の方向は全部読めたわ』
えらいぞ、ナビ。
じゃあ、そいつを教えてくれ。
俺はバレットロックの攻撃が当たらないルートから近づいて、一体ずつブレスで倒していくことにした。
後は、戦いというより単なる作業だった。
『次、右斜め三十度から近づいて。ルートが左右にズレると光弾を食らっちゃうから気を付けてね』
ナビの指示に従い、俺はずりずりと地面を擦りながらバレットロックに近づく。
攻撃を受けずに接近し、ブレス発射。
一撃で撃破!
さらに次の奴も、その次の奴も──。
一体ずつ確実に、ブレスでバレットロックを破壊していった。
その数、全部で六。
経験値も進化の宝玉も一気にゲットだ。