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第3章 決戦、神樹伯爵

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15 最強のドラゴンブレス

 さあ、終わりだ。


 俺は神樹伯爵に向かって口を開いた。


 光の粒子が口内に収束していくのが分かる。

 今の俺が使える四種のドラゴンブレスの中で最強の一撃。


 第一のブレス『滅びの光芒』は対象を爆裂、もしくは貫通し、

 第二のブレス『災いの波動』は対象の特殊防御を無効化し、

 第三のブレス『大罪の火炎』は広範囲の対象を爆撃し、


 そして第四のブレス『終末の極光(ラグナロクバースト)』は──。




 すべての存在を抹消する。




 つまり『消滅』の力を備えたドラゴンブレス。


 消えろ、伯爵──。


 俺は金色のブレスを吐き出した。

 稲妻に似たそのブレスが伯爵の本体を──長大な幹を直撃する。


『ぐがががが……ああああああああああああああああああああああ……っ!』


 絶叫する神樹伯爵。


 幹のあちこちが、すうっ、と薄れ、消えていく。

 破壊ではなく、存在そのものを消し去っているのだ。


 それが『終末の極光』の効果である。


『き、消える!? 我の体が消えるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ! 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ消えたくない消えたくない消えたくない死にたくないぃぃぃぃぃぃぃぃっっ!』


 哀れなほど取り乱し、叫び続ける伯爵。

 先ほどまでの悠然とした態度などどこにもない。


『お願いです助けてください助けて助けて助けてぇぇぇぇぇぇぇぇっ!』


 お前は──そうやって命乞いをした者を一体何人殺してきたんだ。


 王都が壊滅したときのことを思い返す。


 人々の悲鳴を、苦鳴を。

 カレンが踏み潰された姿を。

 命が、ゴミのように散らされていく地獄絵図を。

 そして──アビーを消し炭にしたことも。


 今度はお前が消し炭になるんだ、神樹伯爵。


 ばぢっ、ばぢぃぃぃぃっ……!


 俺の『終末の極光』はなおも伯爵の全身を消し飛ばしていく。

 あれだけ巨大な幹が、どんどんとやせ細っていく。


『ま、待て、そうだ……提案がある! 我は、汝にとって有用な情報を知っている。それを教える代わりに助けてくれ!』


 有用な情報?


『おそらく……汝は己の力のことを詳しくは知らぬであろう? だが我は知っている。魔導王様から直接聞いた情報がいくつもある。それをすべて教える』


 暗黒竜王の情報、か。


 確かに、今の俺はステータスを表示することもできない。

 ナビにとっても未知の状態なんだろう。


 情報は少しでも欲しいところだ。


『な、なんなら、その後……我は汝の配下として働いてもよい。汝なら魔導王様──いや、魔導王をも打倒できるであろう。その力を使いこなすことができれば、な』


 と、伯爵。


『そ、そうだ。魔導王陣営の情報もすべて教えるぞ。側近連中の能力、特性から弱点まで、な。どうだ、我と組んだ方が──』


 一つ、教えておいてやる。


 俺は神樹伯爵を見据えた。


 俺は、外道とは取り引きしない。

 ただ消し飛ばすだけだ。


『……ひいっ』


 俺の殺意を感じ取ったのか、伯爵がかすれた悲鳴を上げた。


 終わりだ、神樹伯爵──。


 俺はさらにブレスの出力を上げる。


 黄金の稲妻が巨大樹に絡みつき、やがてその姿を完全に消し去った──。

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