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暗黒竜王レベル1に転生 いずれ神も魔王も超えて最強の座に君臨する  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第3章 決戦、神樹伯爵

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12 暗黒竜王VS神樹伯爵4

 周囲に漂う焦げ臭いにおい。


 アビーは──一瞬にして燃え尽き、黒い消し炭となっていた。


「アビー! いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 ミラが悲痛な叫び声をあげる。


「アビー……そんな……!」


 コレットが青ざめた顔でうめく。


 俺も呆然となっていた。


 彼女と出会ってから、大した時間は経っていない。

 せいぜい数時間の付き合いである。


 だがそれでも──彼女は仲間だった。

 この森をともに抜けるための。


 こんなことは、前世でもいくらでもあった。


 仲間の死。

 一瞬にして失われる命。

 もう戻ってこない、命──。


 それは戦場の常だ。


 分かっている。

 分かっているんだ。


 だけど──やっぱり慣れることはない。

 ミラやコレットの悲しみやショックを思うだけで、俺まで胸が痛くなる。


『何を悲しんでいる? 理解に苦しむ連中だ』


 笑う神樹伯爵。


『我はゴミを焼却処分にしただけだが?』


 こいつ──。


『なんだ、怒っているのか? 負の想念の──そして、【闇】の力の高まりを感じるぞ。やはり、魔導王様の推測は正しそうだな。【闇】の力は人間に宿り、顕現した』


 神樹伯爵がうなる。


『同じ人間だからこそ、さっきの女の死に悲しみや憤りを感じているのであろう?』

「許さない!」


 ミラが怒りの雄叫びとともに突進する。


「【アクセル】!」


 コレットが僧侶魔法を唱えた。


 同時にミラの全身が緑色の光に包まれ、そのスピードを倍加させる。

 対象の素早さをアップさせる補助呪文だ。


「アビーの仇です!」


 振り下ろしたミラの剣が、


 がぎぃ……っ!


 軋むような音を立て、真っ二つに折れ飛んだ。


「えっ……!?」


 驚いたように折れた剣を見つめるミラ。


『水圧よ』


 ナビが告げる。


 何?


『奴は体内に蓄えた大量の水を操れるみたいね。高圧で噴出した水が透明な刃となり、彼女の剣を斬り飛ばした』


 スキル欄にそれらしい名前はなかったぞ。


『スキルじゃない。ただの「生態」なんでしょう』


 生態……か。


『そこのドラゴンだけは魔導王様の下に連行するが、お前たち二人は必要ない。さあ、死ね』


 神樹伯爵が巨体を揺らす。


『さっきの女と同じく、ゴミのように』


 ゴミだと……?


 こいつらは、いつもそうだ。

 かつての王都での戦いでも、市民も騎士も分け隔てなく殺された。


 まさしく、ゴミのように。


 ふざけるな。


 俺たちは生きているんだ。

 それぞれの人生を、日々を、精いっぱい生き抜いている。


 お前たちに理不尽に踏み潰されるいわれはない。


 絶対に。


 絶対に──!




 るおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!




 俺は、吠えた。


 心の底から湧き上がる怒りのままに、吠えた。


 全身が熱い。


 なんだ、この感じは──。


 体の奥から、何かが吹き上がるような感覚。


 肉も、骨も、灼熱感の中で溶けていくような──。

 俺が、俺じゃない何かに生まれ変わるような──。


 そんな感覚の中で、俺は吠え続けた。


『な、なんだと……!?』


 神樹伯爵が不意にうろたえたような声を出す。


『【闇】の紋章が起動しかけている……? まさか、「暗黒竜王」の力が、目覚める……!』




『「暗黒竜王」起動条件の第一段階を満たしました』

『対象者ガルダ・バールハイトの【闇】のステータス底上げを開始します』

『今から100秒後にカウントを始めます』

『カウントダウンまでの間、限定的に「暗黒竜王」の「真の力」を引き出すことが可能です』




 ナビの声が響く。


 こ、これは一体──?


 俺は戸惑うばかりだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] どうせ覚醒するならアビーが死ぬ前に 覚醒しろよ 誰が死んだら強くなるテンプレはいつ見ても 鬱陶しいな。 覚醒できる可能性があるから覚醒するんだろ もしそんな可能性がなかったら アビーが死…
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