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第3章 決戦、神樹伯爵

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4 門番1

『神樹伯爵』による支配領域──森林内、第3エリア。


 その要所要所には『伯爵』の手下モンスターが配置され、森からの脱出を阻んでいるという。


 あいつらがその門番か。


 俺は前方に目を凝らした。


 二体は、昆虫型のモンスターだった。

 外見上は、一体はカブトムシ、もう一体はクモに似ている。

 体長はいずれも3メートルほどだ。


 ナビ、あいつらのステータスを見せてくれ。


『りょーかい。二体分を出すわよ。まずカブトムシ型から──』



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

称 号:森の番人

種 族:サンダービートル

形 態:昆虫タイプ

L V:11

H P:105

M P:54

攻撃力:134

防御力:131

素早さ:89

★  :4


〇所持スキル

【雷撃の角】LV5

【防御上昇】LV4

【対魔法甲殻】LV6

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



『次にクモ型よ』



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

称 号:森の番人

種 族:デッドリースパイダー

形 態:昆虫タイプ

L V:9

H P:68

M P:143

攻撃力:55

防御力:32

素早さ:170

★  :4


〇所持スキル

【捕獲の糸】LV8

【対魔法の糸】LV5

【毒液】LV4

【爪撃】LV4

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



 見た感じ、ビートルは雷撃能力を備えているみたいだな。

 スパイダーはクモらしく糸を使う上に毒液持ちか。


 しかも、二体とも魔法防御っぽいスキルまで持っている。


 ミラたちにもこの情報を知らせれば、有利に戦えそうだが……。


 そうだ、地面に文字を書いて伝えるか。

 俺はふと思いついて、爪を地面に突き立て──。


 ……駄目だ。


 文字が、思い出せない。


 くそっ、記憶が欠損してるのか。

 言葉は分かるのに、文字が思い出せないとは……。


 ……いや、そんな妙な記憶欠損なんてあるのか?

 疑念が生じる。

 とはいえ、実際に文字を思い出せない以上、仕方がない。


 今は疑念の解消より、まず門番対策が大事だ。


 ナビ、俺のドラゴンブレスは二種とも発射可能なんだよな?


『ええ、「滅びの光芒」は「全開版」を撃ってから一時間以上経過しているから、また撃てるわよ』


 答えるナビ。


『ただし、また「全開版」を撃つと一時間のクールタイムが発生するから気を付けて』


 分かった。


 じゃあ、『災いの波動』はどうだ?

 あれもクールタイムとかがあるのか?

 あと、『滅びの光芒』みたいに「全開版」と「通常版」みたいな使い分けもできるのか?


『「災いの波動」に関しては「滅びの光芒」みたいに「通常版」「全開版」という区分はないわ。一種のみね。一度撃つと、十分のクールタイムが発生するから気を付けて』


 つまり、ビートルかスパイダーのどっちかに撃ったら、次弾まで十分待たなきゃいけないんだな。


「見た目は……大きなカブトムシとクモですね」


 ミラが言った。


「どうする? 遠距離から私が魔法で薙ぎ払おうか?」


 と、アビー。


「仲間を呼ばれると厄介だね。それに相手も魔法能力を持ってるかもしれない」


 コレットが言った。


「とはいえ──接近戦は強そうだから、なるべく離れて戦うのが得策かな」


 遠距離からの先制攻撃、か。

 なら、まずは俺が『滅びの光芒』で仕掛けてみるか──。


 と、そのとき二体がこちらを向いた。


「きゃあっ……!?」


 アビーとコレットが同時に悲鳴を上げた。

 次の瞬間、彼女たちが数メートルも跳び上がる。


 いや、違う!


 二人の両手両足に、いつの間にか粘ついた糸が絡みついている。

 それが彼女たちを引っ張り上げているのだ。


 スパイダーのスキル【捕獲の糸】か!?


 すでにこの距離で仕掛けられていたのか──。


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