11 二度目の進化
陸戦型と空戦型か……それぞれに得意分野があるってことだよな?
そして苦手分野も。
『そうね。陸戦型も空戦型も一長一短って感じよ』
と、ナビ。
『パワーや格闘重視の陸戦型。スピードと三次元的な機動が可能な空戦型。バトルスタイルが異なるから、後はあなたがどっちを重視するか、ね』
なるほど……。
『別に、すぐに決めなきゃいけないわけじゃないわよ。迷っているなら、しばらく今の姿のままで、任意のタイミングで進化することもできるわよ』
ナビが助言してくれた。
あ、もう一つ確認しておこう。
進化保留している間に、新しく進化ポイントを得た場合はどうなるんだ?
持ち越しされるのか?
『いえ、その場合は破棄されるわね。つまり保留した場合、新たに得た進化ポイントは丸々無駄になるわ』
うーん……。
じゃあ、今決めた方が得ってことだよな。
とはいえ、進化は後戻りできないから、焦って決めるのもよくないだろうし……。
俺は悩んだ。
……脳裏に、炎に包まれた建物や逃げ惑う人々の姿が浮かんだ。
そう……だよな。
冷静に考えれば、悩む必要なんてない。
『ん、答えが出たの?』
ああ。
俺が目指す先は、魔導王の軍団との戦いだ。
それを考えれば、答えは決まってる。
飛行可能なドラゴン軍団に対抗するためには、こっちも翼を得る必要があるんだ。
だから──俺は『空戦型』を選ぶよ、ナビ。
『おっけー。じゃあ、進化開始だね。いっくよ~!』
俺の頭の中で高らかなファンファーレの音が響いた。
最初の進化のときと同じだ。
ちなみに、この音は単なる演出で意味はないらしい。
ナビの趣味ってことだろうか。
次の瞬間、俺の全身に熱い衝撃が走り抜けた。
うおおおおおおおおおおおおおおっ!?
体中の血液が沸騰するような感覚。
四肢からスッと力が抜ける。
心なしか、前脚も後脚も細くなったようだ。
さらに、背中がひときわ熱くなったかと思うと、
ぼこっ、ぼこっ……!
と盛り上がり、弾ける。
もしかして、この感覚って──。
翼が……生えた!?
『そ。今のあなたはこんな感じの姿よ』
ナビの声とともに、俺の前方に竜の姿が映った。
黒い体に細い四肢、そしてコウモリのような皮膜状の翼。
翼が生えたことで、ますます竜っぽくなった。
これが──進化した俺か。
そして、さらにもう一つ、今までと違う部分があった。
胸元にクローバーを思わせる紋章が浮かんでいるのだ。
『【闇】の紋章を会得しました』
『【闇】の出力が20%アップしました』
『新たなドラゴンブレスを習得しました』
ナビが平板な口調になって告げる。
ん?
なんかちょっとパワーアップしたっぽいアナウンスだな。
文言から察するに【闇】の力ってのが強まったんだろうか?
どういう効果があるのか、具体的には分からないけど──。
それに新しいドラゴンブレスってのも気になる。
俺はさっき『全開版』を使って、一時間ほどはドラゴンブレスを使えない状況だ。
もう一つのブレスを使うことができるなら、もしもの事態のときに助かる。
『ドラゴンブレスの待機時間はブレスの種類ごとにカウントされるわ』
ナビが説明した。
『だから「滅びの光芒」についてはあと一時間は使用不能だけど、もう一つのブレス──「災いの波動」はいつでも使えるわよ」
カラミティ……ウェーブ?
それが新しいドラゴンブレスの名前なのか。
と、そのときだった。
ぞくり……!
全身にすさまじい怖気が走る。
何かが、近づいてくる。
邪悪な気配を持つ何者かが。
他にもこちらに近づいてくる気配があった。
がさがさと茂みをかき分けながら、一直線に。
「えっ、あなたは──?」
戸惑ったような、声。
茂みの向こうから現れたのは、少し前に別れた少女騎士。
ミラだった。
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