5 戦う理由
地面の中から、巨大なモンスターが出現した。
こいつは──!?
身長は10メートルくらいだろうか。
まさしく見上げるような巨体である。
『巨人の中では弱い方だと思うわよ。とはいえ、巨人は巨人。そのパワーと耐久力は他のモンスターとは一線を画しているわ。気を付けて』
ナビが警告した。
巨人。
神や魔、竜と並ぶ世界最強の眷属の一つ。
太古の昔、古の巨人は神すらも殺し、食らったと言われている。
『「暗黒竜王」の称号を継ぐ者……王国の宝物庫から「牙」がなくなっていたのは……貴様が転生の依り代となっていたからか……』
巨人は意味の分からないことを言っていた。
こいつ、一体何を──。
『まだ「翼」や「爪」などの素材は得ていないか……脅威にならないうちに、生け捕りにして……魔導王様の下に連れていく……』
告げる巨人。
魔導王だと……!?
いや、それよりも俺を生け捕りにするだって。
冗談じゃない。
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称 号:下級巨人
種 族:レッサージャイアント
形 態:ヒューマンタイプ
L V:12
H P:211
M P:0
攻撃力:170
防御力:92
素早さ:31
★ :5
〇所持スキル
【威圧】LV2
【拳撃】LV5
【耐久アップ】LV3
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確かに、こいつは強そうだ。
HPや攻撃力なんて三桁だし。
だけど……だけどな。
普段は忘れている気持ちが、ゆっくりと顔を出す。
普段は考えないようにしているものが、あふれ出そうとしていた。
俺の脳裏に、無残に踏みつぶされた女騎士の姿が浮かんだ。
カレン。
前世で俺が騎士だったとき、ほのかな憧れを抱いていた女騎士だ。
もちろん、目の前の巨人とカレンを殺した巨人は別である。
大きさからして全然違う。
だけど──。
あのときの恐怖と怒りを思い出し、全身が熱くなった。
この辺の感覚は人間と同じだ。
脳の構造が違おうと、体の構造が違おうと──俺は俺だ。
心は、変わらない。
だから──こいつを倒す!
ナビ、力を貸してくれ。
お前の鑑定スキルで奴を分析できないか。
たとえば、弱点につながりそうな情報とか。
『分析……ね。とりあえず、攻撃が左から来るわよ』
分かるのか、お前?
『右腕の筋肉が異様に盛り上がっているもの。【拳撃】スキルで攻撃してくるはず』
解説するナビ。
『軌道はまっすぐ。事前に右方向に動いて、避けて。それから死角に回りこんでブレスを食らわせる──できる?』
やってみる。
ナビの助言に従い、俺は動き出した。
直後、巨人が右拳を振り下ろす。
そう来ることは知っている──。
俺は奴が拳を振るうより一瞬早く、逆方向に加速した。
打ち下ろした拳が誰もいない場所を叩き、地面を大きく陥没させる。
その間に、俺は四肢で地面を蹴って猛スピードで駆けた。
スネークタイプのときには、とてもこんな動きはできなかった。
四足タイプならではの機動だ。
あっという間に、巨人の背後まで回りこむ俺。
完全に奴の死角である。
どの程度通用するかは分からないけど、ぶち込んでやる。
くらえ、『滅びの光芒』──!
俺の口から青白い光線が放たれ、巨人の背中に命中した。
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