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暗黒竜王レベル1に転生 いずれ神も魔王も超えて最強の座に君臨する  作者: 六志麻あさ @『死亡ルート確定の悪役貴族2』発売中!
第2章 魔獣の森の出会い

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5 戦う理由

 地面の中から、巨大なモンスターが出現した。


 こいつは──!?

 身長は10メートルくらいだろうか。

 まさしく見上げるような巨体である。


『巨人の中では弱い方だと思うわよ。とはいえ、巨人は巨人。そのパワーと耐久力は他のモンスターとは一線を画しているわ。気を付けて』


 ナビが警告した。


 巨人。

 神や魔、竜と並ぶ世界最強の眷属の一つ。


 太古の昔、古の巨人は神すらも殺し、食らったと言われている。


『「暗黒竜王」の称号を継ぐ者……王国の宝物庫から「牙」がなくなっていたのは……貴様が転生の依り代となっていたからか……』


 巨人は意味の分からないことを言っていた。

 こいつ、一体何を──。


『まだ「翼」や「爪」などの素材は得ていないか……脅威にならないうちに、生け捕りにして……魔導王様の下に連れていく……』


 告げる巨人。


 魔導王だと……!?

 いや、それよりも俺を生け捕りにするだって。


 冗談じゃない。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

称 号:下級巨人

種 族:レッサージャイアント

形 態:ヒューマンタイプ

L V:12

H P:211

M P:0

攻撃力:170

防御力:92

素早さ:31

★  :5


〇所持スキル

【威圧】LV2

【拳撃】LV5

【耐久アップ】LV3

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 確かに、こいつは強そうだ。

 HPや攻撃力なんて三桁だし。


 だけど……だけどな。


 普段は忘れている気持ちが、ゆっくりと顔を出す。

 普段は考えないようにしているものが、あふれ出そうとしていた。


 俺の脳裏に、無残に踏みつぶされた女騎士の姿が浮かんだ。


 カレン。

 前世で俺が騎士だったとき、ほのかな憧れを抱いていた女騎士だ。


 もちろん、目の前の巨人とカレンを殺した巨人は別である。

 大きさからして全然違う。


 だけど──。


 あのときの恐怖と怒りを思い出し、全身が熱くなった。

 この辺の感覚は人間と同じだ。

 脳の構造が違おうと、体の構造が違おうと──俺は俺だ。


 心は、変わらない。

 だから──こいつを倒す!


 ナビ、力を貸してくれ。

 お前の鑑定スキルで奴を分析できないか。

 たとえば、弱点につながりそうな情報とか。


『分析……ね。とりあえず、攻撃が左から来るわよ』


 分かるのか、お前?


『右腕の筋肉が異様に盛り上がっているもの。【拳撃】スキルで攻撃してくるはず』


 解説するナビ。


『軌道はまっすぐ。事前に右方向に動いて、避けて。それから死角に回りこんでブレスを食らわせる──できる?』


 やってみる。


 ナビの助言に従い、俺は動き出した。

 直後、巨人が右拳を振り下ろす。


 そう来ることは知っている──。

 俺は奴が拳を振るうより一瞬早く、逆方向に加速した。


 打ち下ろした拳が誰もいない場所を叩き、地面を大きく陥没させる。

 その間に、俺は四肢で地面を蹴って猛スピードで駆けた。


 スネークタイプのときには、とてもこんな動きはできなかった。

 四足タイプならではの機動だ。


 あっという間に、巨人の背後まで回りこむ俺。

 完全に奴の死角である。


 どの程度通用するかは分からないけど、ぶち込んでやる。


 くらえ、『滅びの光芒ライトニングバニッシャー』──!


 俺の口から青白い光線が放たれ、巨人の背中に命中した。

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