6.どうやら人間が嫌いなようです
今日も良い運動したー。
最近の鬼ごっこはクロミも参加している。その上、以前よりカナの走っている速度が上がっている。だからもっと疲れるわけで……水分補給をしに洞窟へ向かった。水は近くの川から汲んできたものを飲んでいる。
洞窟の入り口が見えたなと思っていたら、そこに人影があった。
髪の間から耳のようなものが出ているから獣人だとわかる。
クロミ……じゃないよね。さっき一緒にいたから。
私は洞窟に近づいていくと、その獣人がこちらに気づき、驚いたような顔をしていた。
「お前人間か?」
「…………そうだけど」
「最悪だ。カナに呼ばれてきてみれば、人間に会うとか」
「…………」
何今の発言。初対面の人にいきなり最悪ってちょっと酷くない?
私を人間呼ばわりしたのは、同じくらいの子供で獣人だった。銀の髪と金の瞳を持った綺麗な男の子だ。
彼の髪の間から見える耳がさっきから気になって仕方がないのだが……。
「えっと、カナは今洞窟にはいないんだけど……呼んでこようか?」
「ふんっ! 誰が人間の手なんか借りるものか」
その子は頬を膨らませ、腕を組みながら言った。
なんかリスみたいで可愛い。
けれどそれを言ったら怒りそうだったので言わないでおいた。
「……シーラ」
「は?」
「私の名前はシーラ。人間なんて言う名前じゃないから。あなたの名前は何て言うの?」
「人間なんかに教えるわけないだろ」
私と同じくらいだとして4歳。この頃ってもっと素直なイメージがあったんだけどな。
と考えていたら、後ろの方で私を呼ぶ声がした。振り返ると、クロミとカナがこちらに向かってきていた。カナたちは私が戻るのが遅かったから来たそうだ。
「クロミ姉、カナ! どこ行っての。呼ばれたから来たのに誰もいないんだもん」
『あら、いつの間にそんな時間だったのね』
「お久しぶりですねカイ君。あっ、シーラちゃんこの男の子はカイ君と言います。カイと呼び捨てにしてもらって構いませんよ」
誰だ、この少年は。私との態度が違いすぎだよね。まあ名前がわかっただけでも良しとしよう。
クロミ、ナイスよ。
話があるというので私、カナ、クロミとカイは洞窟の中へと入った。
***
何の話かと思ったら────────
『シーラから色々学びなさい。主に勉強とか』
「なんで僕が人間と──────」
『カイ。あなたが人間をどう思っているのか知っているわ。別に人間を好きになれと言っているわけじゃないの。でもシーラのことをきちんと見た? もし見たうえで、そう思うなら別に止めはしないわ。でも見てもいないのにそう思うのはシーラにも失礼じゃないかしら?』
「っ!」
普段怒らない人に限って怒ると怖いんだよね。
カナは目を細め、少し威圧するようにして話していた。対してカイは言い返せないようで、言葉を詰まらせていた。
「わかったよ……」
少し不満げにしてカイは洞窟から出て行った。
私は追いかけようとしたが、カナに止められた。
クロミには、彼にも事情があって私にあんな態度をとっているから嫌わないでと言われた。