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1.転生しました





 『おはようシーラ』

 「ん……あぶばぶぅ(ここどこ)?」



 長い時間眠っていたのか頭がすっきりしていた。

 周りを見渡すと、もふもふな大きな犬がじっとこちらを見ている。

 え、状況がわからない。それにさっきから赤ちゃん声が聞こえるよ。私これから仕事に行かなければならないのに……。



 「あぶぅばぶぶぶぅ(あ、もしかしてこれ夢だったり────)」

 『夢じゃないよ』




 私の隣でこの状況を夢ではないと否定する声が上がるが、周りには大きな犬だけで人などどこにもいない。

 その声の主は私の考えていることがわかっているように話しかける。

 声は聞こえても人の姿はやはり見えない。



 『シーラ、転生したじゃない。覚えていないの?』

 「あぶぅ(転生)……」



 その言葉で思い出した。

 ここで目が覚める前のことを。




 ***




 『はじめましてかの、シーラ。我は神じゃ』



 目の前にいたのは金髪碧眼の美少女だったが身長が低く、この容姿から小学生低学年と言われても何の違和感がなかった。

 けれどその姿に似合わない口調だった。

 神と名乗る少女は腰に手を当てて、ドヤ顔で言ってきた。



 神? この子ってもしかして厨二────────



 『おい、何失礼なことを考えておるのじゃ。それは少し酷くないかえ? さて、冗談はここまでにして我はお主に伝えなければならんことがあったのじゃ』



 この子私の考えが読めるの!? じゃあ本当に神様ってことなのかな。

 ていうか私さっきから喋れてないよね。どういうこと?

 私はこの状況に対して混乱していた。

 そんな私に『落ち着け』と言いながら、神様と思われる少女は自身の肩にかかっていた髪を片手で振り払った。



 『だからさっきから我は神だと言っておるじゃろう。まあ、今から説明するからとりあえず静かにしておれ。まずお主は車に()かれて死んで今は魂の状態でここにいるのじゃ。喋れないのは体がないからだのぅ。実はお主が死んだのは我の不注意でな、すまないな』



 小説でよく神の不注意死ぬとかあったけど、まさか自分がそうなるとは……

 でも死んでしまったなら仕方ないよね。



 『お主随分とあっさりしておるな!? ……それでお詫びと言っては何だが地球とは違う世界、異世界に転生させようと思うのだが何か欲しいスキルとかはあるか? そこは魔法とかがあるファンタジーな世界なのじゃが』



 急にそんなこと言われても困るんだけどなー。

 よくわかんないから任せるよ。



 『お主欲がないのぅ。普通だったら勇者になりたいから聖剣が欲しい! とか魔法全種類使えるようにして! とかだろうに。……確かお主動物と可愛いものが好きだったから………………うむ、決めたぞ。サービスでスキルを二つにしてやったから楽しむのじゃぞー!』



 神様は満面の笑みでこちらに手を振っていた。

 え、ちょっと待って。もう少し説明とか────

 私の意識はそこでプツンと切れた。




 ***




 「あぶぅぶぅ(思い出したわ)……」

 『その様子だと思いだしたみたいね。あ、私は神様に頼まれてシーラのお世話をするカナよ。こちらの世界のお母さんとでも思てくれていいわ。ちなみに私はフェンリルよ』




 その声の主はどうやら人ではなく、先ほどからこちらをじっと見ていた大きな白い犬……フェンリルだったようだ。

 カナと名乗るフェンリルは目を細めた。その姿はどこか笑っているように見える。

 待って待って。フェンリルということは一応動物? の部類に入るのかな。なのに私どうして言葉がわかるの!? そういえば神様、スキルがどうとか言ってたけどこれが私のスキルってことなのかな。

 もう一つあるとか言ってたけど、それはそのうち分かるだろうから今はいいか。



 私は考えることを放棄した。

 それより私は先ほどから気になっていたことがある。

 カナのもふもふな毛だ。頭から尻尾までその柔らかそうな毛で覆われているのだ。

 私は触りたくて手を伸ばすが、届かず歩こうと足を動かす。けれど今の私は歩けるはずもなく、転んでしまった。

 ……………仕方がないけど、今は我慢する。でも歩けるようになったら絶対にモフるんだから!






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