71.オノマ46
孤児院の裏手のちょっと行ったところにある井戸へ行き水を汲み上げて喉を潤す。
「ふぅ……」
そう一息ついて空を見上げると空には綺麗な星が見えた。
「夜に星を見る何て何年ぶりだろう?」
そんなことを思いながら星空を見ていると「ビチャ」という複数の音がした。誰!? と思って音がした方を向くと男の子がこっちに向かって歩いて来ていた。小さい影が見えたから多分3歳の二人組かな?
と思っていると私が予想した通り3歳の二人組だった。彼等はそのまま歩いて来て私を見て悲鳴を上げた。
「「うわぁ!」」
そしてそのまま後ずさりして尻餅をつく。少し驚き過ぎでは……。と思いながら大丈夫か心配になり声を掛けた。
「大丈夫? 立てる?」
そう言って手を差し出すと少し怯えたような表情をしながら私と私の手を見ていた。
(やっぱり駄目なの……)
そう思っていると少し離れたところから走って来る音と大きな声とが聞こえた。
「大丈夫か!!」
そう言ってやって来たのは5歳の男の子だった。そして私達を発見すると声を荒げながら叫んだ。
「お、お前! こいつらに何をした!」
「何もしていない」
「はぁ? 嘘つくんじゃね! お前ら本当は何があった?」
「み、水を飲みに、井戸に来たら、その人が、そこにいて、」
「お前が突き飛ばしたんだな!」
おっかなびっくり話していた男の子の話の途中で勝手な解釈をした男の子が私に指を指しながらそう言って来た。
「ち、違う!」
と咄嗟に否定をした。さっき話していた男の子達は今の話にオロオロしている。
「嘘をつくんじゃなねぇ!」
と言ってポケットを探ったと思ったら何かを投げて来た。反射的に少し屈みながら左に移動をするとおでこに何か硬い物が当たった。
「!?」
何が当たったのかわからないけど思っていた以上の痛みに顔を顰めながら痛い場所をそっと手で触れるとベットリとしたものが手についた。もしかして……。そう思って確認をすると赤い液体がついていた。そしておでこから右頬にかけて液体が伝っていくのを感じた。
一体何を投げたのかと思い彼を見ると地面へ手を伸ばして何かを拾っていた。
(もしかしてさっき石を投げられたの?)
「気持ち悪い腕をしているくせに陰で幼い子達をいじめているやつなんかさっさとここから出ていけ! お前はあいつらと同類だ!」
と言って石を投げて来る。私が何かしたわけじゃないのに……。それなのにオノマと同類なんて……。そんなことを思っていると石をぶつけられる。痛い……。孤児院のみんなを守っていたつもりなのにどうして……。と考えていたけど直接何かをやっていたわけじゃない。それに今の子達はオノマ達と極力会わせないように頑張っていたからあまり酷いことはされていないから突き飛ばしただけで同類にされるのも分からなくもないけど、どうして私の言ったことを信じてくれないの……。と思った。
「(……もしかして私が1人で抱え込んで自己満足していただけなのかな……。オノマ達から子供たちを守ったって……)」
(もうオノマ達も来ないからあの男の子の言う通り出て行っても困らないか……)
そう思い私は孤児院を出て行く準備をするためにその場を後にした。




