62.オノマ37
レーナちゃんにこれがお風呂なのか聞くと見たことないの? と聞かれて頷いた。どういったものなのかは聞いたことあったけど実物を見るのは始めてだということを伝えるとどうやってこのお風呂を使うのかを教えてくれた。
魔石に触れるとお湯が出てくることや置いてある石鹸で体を洗うことを教えてくれた。実際に私も魔石に触れてお湯を出してみたけど体の中から何かが抜けるような感じがした。何だろう? そんなことを思いながらレーナちゃんと代わってお風呂に湯を張ると椅子に座らされた。
お湯を張った影響で視界が白く曇っていて少し見づらいなかレーナちゃんは私を見ながら体の痣や切り傷は彼等がやった事なのかを聞いて来た。確かにそうかもしれないけど時間が経てば消えるから気にしなくてもいいことを伝えると彼等が居なくなったから今後そんなことはないよね? と言って魔法をかけてくれた。確かにそうかもしれないけどそこまでしなくても……。
するとレーナちゃんが首を傾げていた。どうしたのかな? と思ったら思っていたよりも魔力の消費が多かったから驚いただけと言われた。それは大丈夫なのかと思って心配したら問題ないと言って治療を続けていた。
そして治療が終わるとそのまま頭と体を洗ってくれた。頭を洗ってもらうのは気持ちよかったけど体を洗われるのはとてもくすぐったかった。途中で自分で洗うと言おうとしたけどレーナちゃんが体の隅々まで洗うから途中で変な声がでちゃったりしてそれを我慢していたらうまく伝えることができなかった。でもレーナちゃんに洗ってもらうのも悪くないかも……。いやそれでも、全部洗わなくてもいいのに……。とそんなことを思った。なので私もレーナちゃんを洗ってあげようと思ったら断られた。
どうして断ったのかと思ったら腕も上手く動かせないと思ったらしい。嫌なら早く言ってくれればよかったのに……。と言っていたから別に嫌ではなかったことを伝えそのまま落ち着くとか嬉しいとか懐かしいと自分の思ったことを伝えてしまった。しまった! と思って俯いて顔を覆う。何言っちゃっているの私……。そんなことを思いながらチラッとレーナちゃんの様子を伺うと顔を真っ赤にしてそっぽを向いていたけどどこか安心しているようにも見えた。
とりあえず大丈夫なのかな? と思っているとレーナちゃんが頭を表せてくれると言ったので頷ずいてレーナちゃんの髪を洗っていく。背中まで伸びている長い髪の毛は柔らかくて艶がある。そのことをレーナちゃんにいうとそうかな? と返って来た。隠しているのはもったいないというと同じ髪の人見たことないから隠していたとか言ったので昔からなのか聞いてしまった。するとレーナちゃんが少し気まずそうにしながらいろいろあって……。と言ってそれ以上聞く事はできなかった。何があったのかは分からないけどレーナちゃんのことをいつか教えてもらえたらいいなぁ……。とそんなことを思っていた。
そうして髪を洗い終わるとレーナちゃんがお礼を言ってから泡を落とし始めた。そして軽く体を洗うと私を抱えて一緒にお風呂へと入った。
最初は熱いと思ったけど慣れてくると気持ちいい気がしてきた。レーナちゃんは私を隣に座らせる足を伸ばして座っていた。
しばらくの間湯船に浸かっていると宿代を払っていないことを思い出して宿代を払うと言ったらレーナちゃんに断られた。でも、レーナちゃんに払ってもらうのは……。と思っていろいろ言ったけど断られた。するとレーナちゃんが怪しげな笑みを浮かべて私に近づいて来た。どうしたのかな? と思ったら「気にしなくてもいいと言ってもそんなに気にする子にはお仕置きが必要かな?」と言って脇の下をくすぐってきた。あまりにもくすぐったくてやめてと懇願したけどレーナちゃんは手を止めてくれなかった。さっきしつこく言い過ぎたかも……。と思いながらくすぐったくて体を捩っているとお尻が滑って湯船に沈んだ。急な出来事で頭を打ったときに空気を吐き出してしまい息が苦しくなる。急いで顔を上げようとするがお湯の中だったためか上手く動けない。すると両脇の下を持ち上げられた。
「大丈夫?」
「うぅ、うん……」
と答えながら溺れて死んじゃうかと思った。
「ごめんね? ちょっと調子に乗ってやり過ぎた」
と言って後ろから抱き締められながら湯船に座った。
「本当に大丈夫?」
「だ、大丈夫」
そう答えながら内心は凄くドキドキしていた。後ろからレーナちゃんの柔らかい感触にすべすべした足に触れながら抱きしめて来るレーナちゃん。
(何だろう? この温かい感じ……)
そんなことを思っていると知らない内に頬に涙が伝っていた。




