26.オノマ
いろいろあったけど私は無事に自分の家、孤児院の前に着いた。
「ちゃんと戻って来れた……」
私はそう安堵していた。
そんな状態になっているのは今朝、オノマ達に無理やり連れまわされたことが影響している。
いつもなら何日後に来い。と言われてその指定日の朝早くにギルドで待っていることがいつものことだが、その日は急に私の所にやって来て無理やり連れて行かれた。いくら無理やりでも装備の準備があるから少し時間が掛かるのに怒られて殴られた。彼等の気が済むまで……。ここ最近彼等は荒れていることが多くて体にできる痣が増えている。治まってくれたらいいのにとそんなことをよく思う。
そんなことが多いから最近知り会ったレーナちゃんに会いたくなる。普段はフードを被って顔を隠しているけどその容姿はとても可愛い? いや、美しい? まぁ、とにかく綺麗な女の子だった。年はどれくらいか分からないけど私と近いかな? とそんなことを思っている。
きっかけはたまたま森で会っただけだけど街で会ったりして一緒に買い物や依頼を受けたりもした。一緒に依頼を受けたときは彼等と雲泥の差があり、もう彼等と一緒に仕事をしたくないと凄く思った。でも、孤児院のみんなの事もあるから無闇にそんなことを言ったとしたら……と思うと寒気を感じる。でも、レーナちゃんは私の状況に気がついて何かしようとしているけど彼女まで私と同じ目に合わせたくないと思い、大丈夫だと伝えている。そのせいもあって何かと気に掛けてもらっているのかもしれないけど……。
そんなことを考えていたけど森の外に出るとそんなことを考えてはいられず彼等が受けた依頼をこなすために周囲に意識を配りながら歩いていた。
そうして依頼達成まであと少し、私が発見したゴブリンを倒せば今日受けた依頼は終わる。そう思って戦闘態勢を整えるように言った時にゴブリンが倒された。いきなりのことに驚いていると倒れたゴブリンの後ろから現れたのはレーナちゃんだった。
それからはあれよあれよとオノマ達が面倒事を起してオノマとレーナちゃんが決闘を行うことになった。最初は止めようとしたけどレーナちゃんがそんなことしなくてもいいみたいな感じだったので心配しながら見守っていた。そのときレーナちゃんが決闘とはどういうことなのかオノマに話していたけど私も決闘という言葉は聞いたことあったけどそんな理由で行うことを初めて知った。
(物知りなんだなぁ~)
そんなことを思っていると決闘が始まった。私はレーナちゃんの無事を祈っていたが彼等の戦闘を見てそれは杞憂で済んだ。レーナちゃんが終始危なげなく避けていたからだ。これなら大丈夫かも? そんなことを思ったとき急に口元を押さえられて引きずられた。
急に何? と思ったら少し慌ててブラッドがレーナちゃんの武器を持って私の方に走って来た。
「とりあえず離れるぞ!?」
「分かっているわ」
そんな会話をしていると、オノマが怒った声が聞こえてしばらくするとレーナちゃんが武器が無くなったことに気が付いて、ブラットの方をみて叫んでいた。でも、直ぐに誰かを探すような様子を見せたと思ったら私を見ていたがオノマが背後からレーナちゃんに向かって剣を振り抜こうとしていた。「危ない!」と叫びたかったがそんなことができずにレーナちゃんが殺されちゃう! と思った。けど実際はそんなことにはならずに避けていた。後ろからの攻撃なのにどうして避けれたの? そんなことを思いながら私は引きずられていた。
それから私は布で縛られてその辺に転がされていた。レーナちゃん大丈夫かな……。そんな心配をしているとメンデス達とユアの言い合いが聞こえた。もしかしてオノマを倒してきたの? そんなことを思っていると何かが走って近づいて来たと思ったらメンデスが来て私を無理やり起こしてきた。何? と思ったらそのまま無理やり走らされた。背後を見るとたくさんのゴブリンが私達を追い掛けて来た。そのときレーナちゃんは!? と思ったが彼女は少し離れたところから私達を追い掛けて来た。
それからゴブリンに囲まれ彼等が喚き散らしながらレーナちゃんのせいにしていた。そのことが気に食わなかったけど私も彼等のせいでピンチだ。そんな彼等はようやく私を縛っているものを解こうとして苦戦をしているとオノマが助けにやってきた。そのときはもしかしたら助かるかも。とそんなことを思っていたけどメンデスが怪我をした辺りで私は見捨てられて。あまりにも行為的に……。そしてゴブリンに囲まれた私はもう駄目だと思った。ゴブリンに掴まれて持ち上げれていた。何をされるのだろうという恐怖を感じていると近くから声がした。
「放しなさい、よ!」
その声とともに「グギ」という音が聞こえたと思ったら少し浮遊感があったと思ったら誰かに抱きかかえられた。ゴブリンの悲鳴が聞こえる中そっと顔を上げると私はレーナちゃんにお姫様抱っこをされていた。レーナちゃんは後ろを確認しながらかなりの速さで走って逃げていた。
私を抱えたままこの速さで走るのは凄いなぁ……と思ったけど自分の足で走れるから降ろしてもらおうと思ったけど山道に入りジグザグと動きながら走り出して声を出すタイミングがつかめなくてどうしようと思っていたがレーナちゃんは必死に逃げていた。私を抱えたままじゃまともに戦えない。ただのお荷物だと思っていたら少しずつ気分が悪くなっていく。こんな状態で吐いたらレーナちゃんにかかると思い一生懸命吐き気を堪えていた。




