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魔法使いは銀河を駆ける  作者: 星キノ
第8章~Shutdown Stage<Secondact>~
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95. 防衛システムの破壊

 本部に戻り、ふと上を見上げると気になる依頼が映し出されていた。



依頼主:伊集院 英高

タイトル:防衛システムの破壊

場所:エリアY、中央防衛基地

受諾制限:ルナティックスターズとの戦闘に勝った事の有る者

依頼内容:エリアYに本部を抱えるルナティックを直接叩く為に、電磁及び空間閉鎖を行っている防衛システムを破壊します。

防衛基地は極めて厳重に守られているので、三人まで依頼を受けてくださる人間をお待ちしてます。

つきましては、この依頼を承ける人は受付の後に44階の小会議室にお越しください。

尚、防衛システムを破壊したら、翌日にはルナティック本部を叩きます。その際はギルドスクリーンがまた変わります。

報酬:☆238,570



「い、いつの間にそこまで追いつめていたのか」


 何だか気がつかない内に、色々と物事が進んでるみたいだ。

 よく見れば、依頼にはルナティックスターズとの戦闘で勝利した人のみ依頼を受けられるとの制限がついている。

 ランクの制限じゃないなんて珍しい。こんな制限の付け方もあったのか。

 この制限を見る限りでは僕なら全く問題無いだろう。


 これ、受けてみようかな。


「すいませーん」

「はい、どうされました?」


 即決で受付へ向かい、手続きをチャチャッと済ませると僕は足早に小会議室に向かった。

 扉を開け、近くの椅子に腰掛ける。まだ部屋には誰も来ていないみたいで、非常に静かだ。あと、椅子の座り心地がとてもいい。


 そう言えば僕のランクは今どうなっているのだろう。

 考えてみれば給料日を過ぎているし、評定が変わっているかもしれない。そう思って僕はふとライセンスカードを取り出して眺めた。




- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -


星野 彗(虚属性)

人種:地球人(地球出身) 男性 15歳

基本ドライブ:Zz(無属性)

総合ランク:4

・スペード:8

・ハート:3

・クラブ:3

・ダイヤ:2


- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -



 い、歪だ……


 まずスペードのランクが8になっていた。そしてハートのランクが新たに上がっている。だけど、総合ランクは4のままだ。

 これ、ひょっとしてメタリック城防衛が反映されている?


 考えてみれば僕はあの依頼を受けていなかったけれども、給与明細を開いてみたらちゃんと報酬は支払われていたし。


 ……それにしても、戦闘ランクだけが異様に高いのは如何なものだろうと思う。

 これではまるで僕が戦闘狂や脳筋みたいじゃないか。僕は断じてバトルジャンキーではないぞ。

 受ける依頼が尽くあのクソ組織(ルナティック)が絡んでいる呪われ体質なだけだ。本当は僕だって薬草採取みたいな物からコツコツと冒険者みたいな事をしたかったのに。

 だってまず初めて受けた依頼がスマートの実験台集めの罠って所からもう(つまず)いている。ステータスの概念があったら多分運が負の数とか虚数とかになってるのではなかろうか。



「.......とまあ、上手く行けばルナティックだけでなく隠密のアト――やあ、やっぱり来たね」


 1人でランクに対して悶々としていると声が聞こえ、扉が開くと依頼主様と熊人間が一人入ってくる。そして.......


「あっ」


 額から、左目を通って頬まで延びるイナズマ型の傷を抱えたメガネの兎人がその後ろにいた。


「あれ? また会ったね」



 Y(イエロー)と呼ばれていたラルリビ星人。



「では、作戦会議の前に皆さん自己紹介をしましょう。先ずはイエローから」


 その後伊集院くんが会議室のお誕生日席に座り込むと、すぐ様足を組みそう言った。

 すると、彼のそばの席に座っていた彼がゆっくりと立ち上がり、話し始めた。


X-CATHEDRA(エクス・カテドラ)付属大学で教鞭を執っています、イエロー・イェイツです。使える魔法は雷と気持ち程度の水だけですが、どうかよろしく」


 密かに警戒していると、彼と目が合った。

 その目は僕の警戒感を見透かすように僕を見つめると、ニコリと彼は微笑みまた着席する。


 雷と気持ち程度の水だけ、か。

 .......言われてみれば、あの人雷魔法と水魔法しか使ってなかった気もする。


「次にプライス」



 伊集院くんに促され、ドギツイ青色の体毛を持つ熊人間(ヤーテブ星人)が立ち上がる。


「あたしはプライス。諜報部所属、ルナティックでスパイしてます。施設内の案内は任せて? 属性は重力でサブに草って感じ。よろしく」


 サバサバした言い方で話すその人は女性みたいだ。女スパイだろうか。


「ほら、彗」

「あっ.......えと、星野彗です。魔法界入ってまだ日が浅いのでよくわかんないです。属性……は無くて何でも使えます、よろしく」



 言われて慌てて立ち上がり、やや早口に自己紹介を済ませる。

 いつになっても苦手だ。やっぱり変だったかな。


「最後に、皆さん知らないとは思いませんが依頼主の伊集院です。属性は闇、その他水魔法を中心に小回りの効くもの多数。本題に移る前に、皆さん何か質問は?」



 伊集院くんが穏やかな口調で皆に問いかけると、鮮やかな青い手が挙がる。



「どうぞ」

「みんなぶっちゃけ戦績どうなの? 特に星野くん.......は、そもそもスターズと会ったことあんのかよ的な感じするんだけど。あたしはセルティネスと模擬戦したことあるけど、アイツマジでヤバいからさ」

「ルナティックスターズとは有りませんが.......先代のルナティックブレインだった、グレイスさんとならイヤになるほど戦闘経験は有りますよ」


 イエローさんがニコッと笑う度に、黒いオーラを感じるのはどうしてだろう?

 そんな事を考えていると、プライスのキツい目線が僕に刺さった。


「僕は、セルティネス以外の全員と.......」

「嘘!?」


 吃驚した様子で声を上げるプライスに、伊集院君はこう答えた。


「三人の中じゃ一番戦績は有るよ、プライス。それは俺が保証する」

「うっわー、アタシが一番素人かよ」



 伊集院くんは彼女をはいはいとあしらう。他に質問はないかもう一度彼が確認すると、誰も質問事項がないことを確認し彼の主催する作戦会議は始まった。

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