87. 期末試験
Secondact
第二幕
解けない。
僕はどうすればいいんだ。
「――では時間になりましたので鉛筆を下ろしてください。解答用紙は後ろの席にいる人が回収してください」
冷酷な死刑宣告と共に、苦痛の時間が終わる。
終わったのだ。二重の意味で……
「お疲れ様!」
「もうだめだー死んだー」
天野さんが声をかけてくると同時に、僕は机に突っ伏した。その際に思いの外強く頭を打って頭を抑えると、彼女はクスクスと笑った。
「大丈夫?」
「大丈夫じゃない.......」
「星野くんそこそこ頭いいんだから大丈夫でしょ」
そこそこってなんだ。
そりゃあ、天野さんの真後ろの席で腕と脚を組んで難しそうな顔をしている誰かさんよりは劣るけどさ。
「彗、お前生きてるか」
「これが生きてるように見える?」
「ですよねー」
巧がフラリとやって来ると、彼もまた何とも言えない表情だった。恐らく自分以上に爆死している。
「今日はもう終わりだよね」
「うん、選択授業とかもないしね」
「うっし、ならカラオケ行くぞ」
「はい?」
「天野さんもストレス発散しないとな!」
完全に現実逃避モードに入ってる巧に呆れていると、ふと視線を感じた。
視線の主は言うまでもなく腕と脚をロックしているあの人だ。
「伊集院くんも何だか難しそうな顔してるね」
「お前もテスト死んだパターンか!」
「君と違って俺は脳みそまでは死んでいない」
その一言に天野さんと鳩峰さんが思わず笑う。
「ちょ、それ酷くね?」
「伊集院くん大人しそうな見た目で結構毒がキツイよね」
鳩峰さんがそう呟くと、天野さんが苦笑いする。僕もそれに関しては同意だ。
結構ではなく滅茶苦茶毒がキツい人ではあるが。
「テスト返還日っていつかな~?」
「明後日だよ」
「やだなー」
「勉強、してる?」
含みのある言い方で伊集院くんは僕を見た。
勉強、勿論してません。こっちに居ないので。すみません。
「明日は?」
「国語総合とかだよ」
「国語も分かんない」
伊集院君はふらふらと木本君の方に行き、僕たちはまだテストが終わってないにも関わらず遊ぶ予定を立てた。
勉強は勿論大事だが、巧の言う様に、息抜きもまた必要なのだ。
「じゃあそろそろ行く?」
言い出したのは天野さんだ。何だかんだでカラオケの機運が高まっている。
「だな。うっしじゃあとっとと行こうぜ~」
「賛成~」




