78. 城の抜け道
暗い通路とエレベーターを乗り継ぐ事三回。
途中でいきなり重力が逆転して、頭を思いっきり天井にぶつけたりしたけど、何とか出口らしきものが見えてきた。
途中から大量の服が何故か僕の視界を阻んだが、扉を開けると、目の前に豪華絢爛な部屋が姿を現した。
「これ.......クローゼットだったのか.......」
豪華なベッドがまず目に留まり、上を見上げると淡く目に優しい光を放ち続ける泡の様な物が光源となっていた。
絨毯には燃え盛るライオンのような何かが大きく描かれており、まるで生きているかのように絨毯の中を所狭しと動き回っていた。
「ここは……」
スカウターでマップを開いて現在位置を確かめると、どうもメタリック城のマヨカの部屋に居る事が分かった。
「王女様の部屋か……」
恐らくあれは秘密の抜け道なのだろう。何かあった際の、緊急時にしか使わないようなルートだ。
とりあえず出口を探して目的地に行かなければならない。目に入った扉へと向かっていくと、やはり扉にも装飾が沢山施されている所に目がいく。。
「金と白か.......」
ドアノブがプラチナだ。最早金ですらない。その扉を開ける時も、ガチャと言う平民的な音はしなかった。チリン、と鈴が鳴るような音が響く。
「うーん、どこ行けばいいのかな」
それにしても本当に広い。どうもマップを見ている限りではメタリック城はX-CATHEDRA並みに広いみたいだ。
メタリック星自体はそんなに土地面積は無いらしいが、あらゆる建物が上空に天高く伸びていて100階建てはザラ。このお城は中でも最も高い建物であり300階建てらしい。無茶苦茶だ。
廊下を注意しながら歩いていくと、やがて人がいることを示す点がマップ上に現れた。
メタリック城の兵士だ。
「あの、すみません」
「何者だ!」
声を掛けてみるといきなり飛んできた怒号にも近い声に飛び上がる。
猫人間をデフォルメしたような見た目の、可愛らしいメタリック星人が2人だ。
「あの、あ、怪しい人間じゃないです!」
突然銃を突きつけられ、頭がパニックに陥る。
思わず怪しさ満点の言葉を発してしまう。
「どうやってここまで侵入したんだ!」
「そ、それは……」
マヨカの部屋、と言おうと思ったけどあれは間違いなく人には言えない秘密の通路。
「怪しい奴め、連行する」
モゴモゴと吃っているとますます不審がられ、兵士が1人ゆっくりと距離を詰め始めた。さてどうしたものか。
「待って、僕は依頼で――」
「あー、そこの兵士、止まれ」
唐突に響く新たな声にその兵士が静止し、振り向いた。
「た、隊長!」
「お前らよく見ろ。こいつX-CATHEDRAの人間だぞ」
「えっ!」
驚いた様子で兵士たちがまじまじと、主に僕のスカウターの方に目線を集中させる。
「これは失礼しました」
「い、いや、いいですよ」
「お前たちは引き続き警戒を続けろ。そこの地球人、お前は俺についてこい」
「あ、はい」
誤解が解けて兵士が去り行くと、隊長と呼ばれた紅い服のメタリック星人が話し掛けてきた。
「んーと、それで君はどうやってここに? 入り口は全部閉鎖されてるはずなんだが」
「えっと……マヨカに.......じゃなかった、マヨカ王女に入れてもらいました」
「あー、マヨカ様ね。全くあの人は……」
そう言うと彼は深くため息をついた。
「自己紹介がまだだったね。俺はレッド。君は?」
「星野彗と言います」
名乗ると共に、彼が一瞬チラリとこちらを見た。
「聞いた事のある名前だな。ああそうだ、こな様の……まあ、案内するよ、おいで」




