表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法使いは銀河を駆ける  作者: 星キノ
別視点〜Second Sides〜
59/269

58. 裏工作

「燃えろ!」


 自分がハブルームにあったルナティックの拠点に到着する頃には、粗方掃討が完了していて(レッド)が施設を焼き払い始めていた。

 (レッド)の咆哮と共に、火柱が無数に叩きつけられ、辺りを焼き尽くしていく。



「フン、派手にやってるな」


 (ブルー)(レッド)(ヴェイル)の3人で壊滅した敵の根城は文字通り火の海と化しており、至る所にルナティックの下っ端の骸が転がっていた。


「ああ(ザント)様、わざわざ見に来たんですか。【フレアリフト(レヴィフレア)】!」


 (レッド)が追加で火炎の玉が放つと、瞬く間に辺りが炎の渦に呑まれていく。


(ヴェイル)

「何でしょうか」


 全身を黒装束で包み、顔もベールで覆い口以外は全て隠しているAAAA(テトラエー)の大幹部に指示を与えるために呼び寄せた。


 彼の素顔はグレイス以外には誰も、ボスの俺も見たことはない。

 主な武器は鎖の付いた巨大な爪であり、近接では武爪により体術、遠距離へはクローショットなどを使い戦う武闘派の魔術師。

 しかし彼の特徴と言えばなんと言っても変身能力に尽きるだろう。彼はドライブの力で自在に変身することが出来るため、隠密任務で彼は欠かせない。


 無論、魔法でも変身擬態は可能だが、ドライブによる変身擬態は魔力を使わないため、長時間の維持が可能だ。

 変身魔法は膨大な魔力を消費するので、ドライブによる変身は重宝される。


 噂では地球人らしいが。



「少し自重しろ。血を撒きすぎだ」

「僕としては洗い流すのも大変だよっ!」


 やや高い声が聴こえると共に水の波動が広がり、そこら中を水浸しにしていく。(ブルー)の魔法だ。


「水蒸気爆発だぜ!」


 そこに(レッド)の火炎魔術が加わると、巨大な水の爆発が巻き起こり一帯を破壊していく。


「それぐらいにしておけ。(ヴェイル)、変身の準備をしておけ。(ブルー)はそろそろ引いておけ。(レッド)、お前はコントロールルームに俺を案内しろ」


「了解だ。じゃ、(ヴェイル)さん、あとは任せましたよっと」


 (レッド)がそう言うと同時に、(ブルー)もゆっくりと頷くと彼は水の渦を自分の足元に出現させて空間転移(ワープ)した。


「気配が近いですね」


 (レッド)がそう言うとほぼ同時に、新たな魔力の反応がこちらに近づき始める気配を感じ取った。

 この魔力の波動は恐らくスターズの一員だ。騒ぎを聞き付けてやって来たのだろう。


「……モデルVs(ヴェイルドサイト)、固有能力発動」


 (ヴェイル)のドライブの持つ能力は、一度触れた人に変身できる能力。

 恐らくはそこら辺に転がっている死体にでも触れたVの姿は、既にあの黒装束ではなく猫のような宇宙人の姿に変化していた。


「お前、変身する時は好んでメタリカンを選ぶ傾向があるな」

「猫人間が武爪を使う分には違和感がありませんから」



(レッド)に案内されて奥へと進むと、機器が手付かずの状態で保存されたコントロールルームへと到着した。

 ただ、部屋自体は死体と真紅の海だ。


「フン、セキュリティールームも血塗れじゃないか。【清掃(バニクリス)】」


 汚れを消し去る魔法を使い、血の海を綺麗さっぱり消し去ると防犯カメラのスクリーンの前に俺は座った。



「……」

「何だこれは!他の奴らはどうした!」



 やって来たのはピアースだった。唖然としながら辺りを見回すと彼は唯一立ち尽くしている隊員……に化けた(ヴェイル)を見つけ駆け寄って行く。


「みんな、死にました」

「……そうか。ならば、コントロールルームから本部へ緊急連絡を入れる必要があるな」



 そう言うとピアースは俺の居るコントロームルームへと足を進めようとした。すると彼の部下に擬態している(ヴェイル)が彼の前に立ちはだかり、その道を阻む。


「お前……どういうつもりだ?」


 いささか何かがおかしいと気付いたピアースが、剣を取り出し(ヴェイル)へと向けた。


「こういうつもりさ……!」


 (ヴェイル)が高速で腕を振るうと、3枚の衝撃波が彼の武爪から放たれ、ピアースを大きく吹き飛ばす。



「ぐあっ……貴様!」

「我が組織の為にも、生存者は居てはいけないんですよ!」


 だが殺す訳には行かない。

 ピアースには衝突の起動キーとなってもらう。

 そのためにもまずはこのセキュリティールームを完全に破壊しなくてはならない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ