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魔法使いは銀河を駆ける  作者: 星キノ
第5章〜Silent Sentinels〜
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51. 答え合わせ

 枕投げバトルから30分程が経過しただろうか。

 ようやく皆が寝静まってくれた。


「……」


 僕と伊集院君、そして理恵が同じタイミングで起きあがり、同じタイミングで耳の辺りに指を当てた。

 そこから透明だったスカウターに色が戻って行く。そして僕たちは目で合図を交わし、一階に下った。


「待った。【覚醒警報(ブルーアラート)】」


 伊集院君が呪文を唱えると、指を鳴らす様な音と共に、彼の指先からほんのりと青い光が漏れた。


「彼らの中で誰かしらの覚醒度が上がるとスカウターが知らせてくれる」


 伊集院君がそう説明してくれる。寝起きが近くなると知らせてくれる魔法か。

 魔法ってやっぱり便利だ。


「行きましょう」


 理恵から変身を解いてこなに戻った彼女がそう言うと、僕の腕を掴んだ。

 何をするのかと思えば、彼女は驚く様な強い握力のままその場でスピンをし、僕は堪らずバランスを崩した。


 視界が黄と緑のサイケデリックな空間へと一瞬変化した後、広大な部屋へと変化していく。

 どうやら僕はこなの手によってワープをしていたみたいだ。


「現在の状況を」



 こなは僕の腕を離すと早速ほかの宇宙人達に指示を飛ばしながら報告を聞き始めた。

 はじめてみる部屋だ。


「依然として動きはありません」

「おかしいわね」


 中には地球人もおり、彼らが首から下げているライセンスには諜報部との文字が書かれている。

 バランスを崩した転んだ状態で転移した自分も、微妙に打った膝を擦りながら起き上がると辺りを見回した。


「何か動きがあれば緊急警報( レッドアラート)の魔法が上がるので問――」


「今何て言った?」

「はい?」


 先に空間転移(ワープ)をしていた伊集院君が、突然僕達の目の前で硬直する。


「今、何と言った?」

「何か動きが有ればレッドアラートが上が――」

「それだ」


 何かを閃いたかのように伊集院君の顔が晴れると、彼は別の隊員を呼び出すと同時に空中に文字が浮かび始めた。

 煙のような何かで出来ていたその文字は見る見るうちに僕達の見なれているローマ数字へと変わっていき、やがてひらがなへと変化して行った。


 何が起きているのか、まるで把握出来ていないが、こなは腕を組んで伊集院くんの説明に耳を傾けていた。


「この暗号文に記載されている言語は、地球の日本語に変換してから更に英語に変換して行くものだ。2つのスラッシュに挟まれた5は、直接英語に変換するものだ。英語で5番目の文字は『E』……」



あすしょくぶ/E/つすいのけいむしょをせめる



 この怪文は何だろうと考えていると、こなが首を傾げながら伊集院君に質問を投げかけた。


「しょくぶEつ? って何?」

「違う、これも全て英語だ」


 伊集院君が腕を振ると、その文章が全て英語に変化していく。


「私たち地球のドメスティックな言語は分からないわよ」

「俺が分かるから良いんだよ」



そう言うと地球人の隊員が何人か伊集院君の元へと集まり、彼と一緒に文章を見上げた。


「We will assault the prison at the plan/e/t すい tomorrow……プラネットだから惑星……だがこのすいってのは何だ……」


 自分の名前と同じ箇所だけが日本語な事に動揺と違和感しつつ、僕もゆっくりとその煙のような文字の元へと歩み寄った。

 魔力をほのかに帯びている。

 気体で在りながら液体にも見えるその不思議な物質を眺めていると、ふとある閃きが自分の中に迷い込んできた。


 気体。

 液体。


「すいって、水の事なんじゃない?」


 一瞬辺りがシン……と静まり返る。

 すると伊集院君は文字を漢字の水に変化させ、やがてそれが英語のwaterへと変化した。


「プラネットウォーター。水の惑星か」

「じ、じゃあ、襲撃する星って、ひょっとして――」



 隊員が1人焦った様子で答えを言おうとした瞬間、部屋にけたたましい警報音が鳴り響き、部屋の明かりが赤いライトで点滅を開始した。




『警報! 警報! 惑星アクアン、ミラビリンス刑務所ニテ襲撃事件発生! ミラビリンス刑務所ナテ襲撃事件発生! 手ノ空イテイル者ハ直チニ現場ヘ急行セヨ! 直チニ現場ヘ急行セヨ!』



「しまった……!」

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