47. 報酬
「あーもしもしー?」
火口を出て、山の中腹あたりに差し掛かった頃に突然電子音が鳴った。
口を開こうとしたナナはその電子音を聞くと、やや沈んだ顔で小さくごめんと僕に告げると、ナナは電話を始めた。
「今〜? サーペン火山、ルナティックの支部潰して来た所よー」
ナナは誰かと話し込んでおり、暫くすると声のトーンがどんどん低くなっていく。
「分かった」
やがて電話を終えると、ナナはすっかり険しそうな顔つきへと変化していた。大きくため息をついた後、彼女は僕に向き直ってこう告げた。
「……本当は今からお説教しようと思ったんだけど、後回しねー。報酬は受付にあるから取りに行って、私は急用ができた」
「あ、うん」
「また後でね」
短くそれだけ言うとナナはその場でくるりと回り、バシュッと聞き慣れつつある音と共に空間転移して消えた。
「……何かあったのかな」
何か良くない事でも起きたかの様な顔だった。
回想しつつ僕は下山し、ようやく転送エリアへと戻るとそこから見慣れたX-CATHEDRAの1階受付へと戻ってこれた。
「はいどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
受付に舞い戻った僕に渡されたのは、掌ほどのカプセルだった。
どうやら報酬はお金ではない場合、即その場で支給される様だ。
「これが、スレイヤー何とかって言う武器……?」
フタらしき物が付いていたのでそれを開けて中身を覗く。するとその中から、小さな剣のフィギュアの様な物が現れた。
掌に収まるような、小さなミニチュアだ。
「これが、武器なのか……?」
こんな物、どうやって使うんだろう。そう思っていると、受付の人が見兼ねて僕にそっと声を掛けてきた。
「あの、もしかして宇宙初心者ですか?」
受付の梟のような人が聞いてくるので、僕はゆっくりと頷いた。するとその受付嬢は懐から同じようなミニチュアの武器を自分の羽を使って器用に取り出して僕に見せた。
「こうやって手元に持った状態で魔力を送り込むと本来のサイズに戻りますよ」
梟人間がそう言うと、ミニチュアの武器がどんど肥大化していき、気がつけばそこには魔法の杖が有った。
「うおっ!」
自分もそれに合わせて念で魔力を送ってみると、僕の報酬もまた巨大化し始めた。ギラリと鋭く光る剣先から歪な形の刃が柄から伸び、その柄には装飾された竜の目の様なルビーが施されていた。
冷たい無機質な香りが剣から漂う。
「軽い!」
重たそうな金属なのに、柄を手に持つと水の入った小型のペットボトル位の重さしかなく、軽く素振りすると軽々と振るう事が出来た。
「これは早速使わなきゃ」
美しい剣は魔力を再び込めると萎んでいき、僕のポケットに収まった。
ナナからの有難い贈り物だ。大事に使って行こう。




