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魔法使いは銀河を駆ける  作者: 星キノ
第4章〜Slithering Slaughterer〜
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41. 給与内訳

「はい、星野様ですね、少々お待ちください」



 ガーディアンライセンスを提示すると、受付の犬人間が奥へと引っ込み、暫くして大きな袋を奥から持ち出してきた。



「はい、どうぞ」


 ジャラリとお金の入った入れ物を渡してきた受付嬢は、犬人間の中でも特に愛玩犬のような顔つきだった。とても愛くるしい。

 最近ようやく犬人間の顔の違いを認識できるようになった気がする。これは快挙だ。


「ありがとうございます!」


 渡された入れ物はあまり大きくないけれど、何だか凄く嬉しく感じられた。それを持って僕は適当に近くのテーブル席へと向かい、そこでその中身を確認した。


「……☆19,950?」


 おかしい。


 確か計算が正しければ金額は☆31,000にならなければならないはずだ。スマートの一件とピアースの一件で。

 これはもしやピンハネか。まさかこれが、X-CATHEDRA(エクス・カテドラ)の手数料ビジネスの実態なのか。

 表示報酬額は言わば税抜き価格みたいな物で、その実はマージン料を根こそぎ徴収していく悪魔的なビジネス実態なのか……!?


「こいつら……許せねぇ……」



 絶望にも似た感覚が僕の胃にズンとのしかかろうとしていたその瞬間、突然スカウターの電話機能が鳴り始めて思わず飛び上がった。電話の主は暴利を貪っていると今僕の中で評判でとってもホットな伊集院君だ。

 ドス黒いブラック人材斡旋業の首魁め……闇そのものを擬人化させた、絵に描いたような暗黒企業の取締役め……!

 目に物を見せてやる……!


『もしもし』

「もしもし」

『君は恐らく初給料日のはずだから一応。君の場合ハブルームの一件は防衛依頼任務として処理されてるから通常の受け取り窓口ではなく隣の窓口で受け取り処理をしてくれ』


 良い一日を。などと言いそのまま一方的に電話を切られて唖然としていると、後ろに並んでいた人間からなじられたので列から退く。


 防衛依頼……? いやまあ、確かにハブルームの件は、依頼主がスマートだったから当然内容はおかしかったけれど……それよりも隣のカウンターとか言っていた事が気になる。



「星野様ですね?」

「あ、はい」

「あ、先ほど確認はすませてましたね、失礼致しました……はいどうぞ」


 そう言われてドサッ!と渡された入れ物は重量感が違っていた。なんだこれは。


「あ、ありがとうございます」

「また、今回の任務の功績が認められましたため、星野様のランクが昇格となります。ランクの昇格は毎月の給与支給日となっておりますので、ガーディアンライセンスよりご確認の程をお願い致します」


 どうやら昇格となったらしい。思っていたよりもあっさりとしている。後でチェックしなくては。

 そして重量感のある袋を開いてみたところ……中身は☆180,000だった。



「すっげ!」


 とんでもない金額だ。

 高校生の初任給が約20万ってどういう事だ。


「どーしたの?」


 そんな時に、通りすがりのマヨカが現れて僕に話しかけてきた。


「あ、いや、初任給が予想以上でビックリして」

「予想と違うって事は防衛依頼かしら。なかなかやるじゃない」

「ほら、あのハブルームの1件がさ」


 事の経緯をマヨカに話すと彼女は納得した様子で頷いた。


「なるほどね。で、使い道は決めたの?」

「まだ。だから同じ地球人の伊集院くんにむしろどうしたらいいか聞こうかと思って」

「なるほどね〜」


 そう言うとマヨカは伊集院くんが恐らく自室にいるだろうと答えてくれた。早速僕はスカウターでマップを開き調べると、伊集院くんの部屋は100階にあるとの情報が現れた。


「ここか」


 エレベーターに乗り早速到着すると、100階はとても静かな階だった。十字路を右に行った廊下の一番奥に部屋があるらしい。

 120階建てのこの場所を隅から隅まで探検しようと思ったらどれぐらいかかるだろうか。


「っと、あれか」


 様々な会議室や開かずの部屋がある中、その奥にそれはあった。

 副総帥私室と白い文字で刻まれている黒鉄の扉は何とも不気味だが、ここが伊集院くんの部屋と思えば、納得のいく物がある扉だ。


「失礼しまーす」

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