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魔法使いは銀河を駆ける  作者: 星キノ
第一章~Start~
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17. 初めての報酬と初めての宇宙

「お疲れさまー、はい報酬。」


 X-CATHEDRA(エクス・カテドラ)に戻った僕はその後直ぐに総帥室まで戻って来ていた。

 そんな僕がこな報告を終えると、彼女は空中に小さな袋のような物を出現させるとそれが僕の前までやって来て、僕が手を広げるとその上に乗ってジャラリと音を立て、沈黙した。


「中身は?」

「お金よお金。地球で言うドルやユーロや円よ。この宇宙では統一通貨が使われているから、一番立ち位置として近いのはユーロかしら」


 こなさんが地味に地球の通過に詳しい事に驚きつつ、渡された巾着をしげしげと眺めてみる。

 この袋は何か特別な力でもある物なのだろうか。所謂アイテムボックス的な。


「この袋の中身の通貨は(スター)と言います。由来は星屑からできている所からですよ」

「ちなみにこれ、書く時は前に五芒星を書くが発音は後ろだ。(ホシ)1,000(一千)と書かれていたら読みは1,000スターな」


 こなさんの横にいたグレイスさんが説明してくれると、伊集院くんがそう補足してくれる。変な所で宇宙チックだ。


「原則として、依頼掲示板のスクリーンに表示されてるミッションを選んで、カウンターでミッションに就いて、ミッションが終わったら報酬を貰って、カウンターに一旦預けるのが流れだ」

「預けたお金はおきゅーりょーとして地球時間で言う24日に一回引き落とせるわよ」

「ただし今回は例外です、初仕事はそのまま渡すことになっていますから」


 巾着を開けてみると金平糖のような形の硬貨がぎっしり詰まっている。


 曰く、茶色の星屑は☆1(1スター)、赤色は5、オレンジ色は10、黄色は50、白の星屑が100で水色の星屑は500、濃い青の星屑は1,000らしい。

 そして銀色の星屑は5,000となり、金の星屑は10,000。虹色の光を放つ星屑はなんと☆100,000との事。全体的に日本円に近い感じだが、10万の単位があるとは驚きだ。


 しかも伊集院くんがゆらりとこちらに歩み寄りこっそりと耳打ちしてくれたが、どうもこの(スター)、地球の貨幣との両替も可能らしく、日本円レートは☆1(1スター)につきおおよそ1,000円程で推移しているとか。円安すぎる。

 


「やって来る依頼の中には多少の戦闘を含む物があるから、武器とかも買った方がいいかもね。君があの銃一筋で行くなら話は別だが」

「うーん……ん?」


 戦闘行為案て物が宇宙にはあるのか。と言う事はやはりあの巨大の蜘蛛は魔物みたいなものに当たるようだ。


 ところで、何で伊集院君は銃の事を知ってるんだ?


巨大蜘蛛(アクロマンチュラ)を初見で、しかもドライブ無しで倒せる魔法使い成り立て青年なんてあまりいないからね」

「何で、それを知ってるの?」


 それを訪ねてみると、どこからともなく現れたナナが低いうなり声をあげた。


「あ!」


 廃墟で聞いたあのうなり声は、どうやらナナが出していたらしい。


「あなたに合うドライブを選別するためにあの蜘蛛を放ったの、許して?」


 こなが悪びれた様子もなくそう言う。


「ええええ!?」

「なかなかの腕前だったよ」

「死ぬかと思ったのに!」


 命を守るドライブを選別するために命の危険にさらすとは、いくらなんでも無茶苦茶だ。

 そう抗議しても、彼女はそれをなだめるかのように続ける。


「まあまあ……でもお陰であなたのポテンシャル測れたんだし」

「宇宙最強の生き物と同じ力を理論上持っていて、尚且つ同じドライブを持つ事が出来たんですから……」

「最強……とは?」


 グレイスの発言を伊集院君が笑いながら説明を始める。


「この銀河団には面白い物が在ってね、宇宙一強い人は誰か、と言う物を決める大会があるんだよ」

「この宇宙では娯楽としての戦闘行為が盛んに行われてましてね。地球時間で言う過去5年間、宇宙最強の人物としてこなさんが君臨しています」


「…………」


 ……は?


 この、目の前に居る宇宙人が宇宙最強……?


「自慢じゃないけどね」


 こなさんはそう言うと腕を組んで思い切り自分の椅子でふんぞり返った。これ思いっきり自慢してる奴だ。


「ねー、その最強パワーで善良な世界征服でもして桃源郷築き上げればいいのにねー」

「それは無理よ、体が幾つ有っても足りないわ。それにめんどいし」

「君はここで天狗になってるクソ猫人間と同じ魔力を有しているから、やろうと思えば少なくとも宇宙で10位以内の強さにはなれないことも無い」


「……全くもって、ついていけないんですけど」

「いずれ慣れるわ」


 スケールが半端じゃない。そんなスケールの物事に、今僕はいるのか。と言うか、これに慣れることなんてできるのだろうか。



「ん、もう6時だ。そろそろ帰る?」

「えっ?」


 ふと伊集院君に言われて慌てて自分の腕時計をみると、確かに針は6時を回っていた。

 僕が廃墟に足を踏み入れた時は確か昼の1時過ぎ。でも、ここで相当長い時間を過ごしているはずだ。夕飯は食べていないし、おなかのすき方は夕飯の時間を等の昔に過ぎている。


「じゃあ俺たちは一旦上がるよ、地球っつーか日本じゃ今月曜日の朝だし」

「そう?二人ともおっつー」

「お疲れ様でした」


 ナナとこなが手を振り、グレイスが耳を手の代わりに振り始めた。


「じゃ、行こうか」

「え?あ、うん」


 つまり、僕ははからずとも徹夜をしてしまったことになる。明日と言うか後3時間後には学校が始まってしまう。どうすればいいのだろうか。


 こうして、明日の学校に不安を覚えつつ、僕の産まれて初めての宇宙は幕を降ろしたのだった。

やや長めな導入部・地球編はここまでとなります。

次回からはいよいよ魔法の飛び交う宇宙編が開始いたします!

もし少しでも作品を面白い、続きが気になると思って頂けましたら、ブックマークや感想を頂けますと幸いです。

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