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魔法使いは銀河を駆ける  作者: 星キノ
第9章〜Stagnant Saga〜
138/269

137. いわゆる事後

今日は1日3話更新の予定です。いやはや、時差勤務も噛み合えばいい感じに時間が取れますね()

「……と、言うわけで、俺は暫く学校には来れそうにない」

「マジか」

「たまに忘れるけど、そう言えば伊集院くんはPEP(政治関係者)なんだよね」

「俺もたまに忘れる」

「いやお前本人だろ」


 あれから3日。

 いつもの4人に伊集院君を加えた5人で、僕達は学校の保健室を溜まり場にしてそんな情報交換をしていた。


 ちなみに保健室の先生はいない。

 先生が部屋を出た隙に天野さんが非魔人よけの魔法を展開したからだ。



「まさか学校でやる気なさそうに寝てると思ったら、裏で夏休み入る前にルナティックを潰して来るとは思ってなかったわ……」


 天野さんが溜息混じりに言いながら伊集院くんを眺めた。


「充実した高校生活だったよ」

「まるでもう高校生辞めるみたいな言い方」


 この3日間は、X-CATHEDRA(エクス・カテドラ)の幹部にとっては激務だったと言える。


 先ず行われた緊急記者会見。

 作戦完了と同時にグレイスが即座に緊急記者会見の場をセットし、マスコミが強引にスケジュールを調整して息を切らしながら会見場に集まり。

 時間開始と共にこなが空間転移(ワープ)で会見場に現れると頭を軽く下げた上で『えっと~まずは本日未明にあったエリアY上空の爆発、あれは私たちが起こしました~』から始まった衝撃のニュース。


「いや、ウチはそれにちゃっかりこの人が混じってた事の方がむしろ驚いた」

「てへ」

「うわ、男のてへとか気持ち悪いな」

「僕は君よりも男として気持ち悪さは下回っていると強い自覚を持っているよ」


 巧が抗議の目線を静かに僕に向けるのを無視し、伊集院くんに目を向ける。

 見ると些か彼は少し疲れた様子で欠伸をしていた。


 こなの記者会見の直後ーーいやぶっちゃけ会見中からーーテレビやインターネット、新聞は騒然となっていた。


 宇宙最大の反宇宙連合(X-CATHEDRA)であったルナティックが瓦解した衝撃は計り知れなく、祭のような騒ぎになっていた。



「私がこないだ購読し始めた日刊(デイリー)アカシック新聞(日本語版)、なんか一面どころか二、三面ぐらいまとめてその内容だったよ」

「……これでもマスコミへの情報公開は最小限にしてある」


 鳩峰さんそう言いながら、宇宙人向けの新聞を自分の鞄から取り出した。

 僕は新聞なんて読まない人間なので、真面目に宇宙の情報を勉強している鳩峰さんに対して素直に感心する。


 新聞は昨日の日付の物だ。一面に乗っているのはグレイスの顔で、その内容は昨日発表されたルナティック社員の再雇用と言う第2の爆弾についてだった。

 その発表は、初日のこなではなく、世間に強い影響力を持っているグレイスが担当した。



「……この度、私達X-CATHEDRA(エクス・カテドラ)は、指定暗黒組織ルナティック元構成員の方から希望者全員を、保護し再雇用する方針であります」



 この衝撃の発表に、マスコミが食い付かない訳が無かった。

 要するに国連がテロリストを雇うと言っているような物だ。


「これさー、何でそっちで引き取るわけ?」


 天野さんが怪訝そうな顔で伊集院くんにそう尋ねる。

 彼女は僕達と違って元から宇宙社会に属している人間だ。

 恐らく、僕達がルナティックに抱いているぼんやりとした印象なんて物は持ち合わせていなく、その脅威は遥かに身近に有った物のはずだ。


「地球でもそうだが、あまりにテロ組織が大きいと、組織が崩壊すると同時に生き残ったテロリスト共が一気に野に放たれてしまう問題がある。そうした奴らは暫くは息を潜めるがやがて別のテロ組織に入り込んでしまう物だ」


 最も力を持っていたルナティックが無くなった今、宇宙の裏社会の勢力図はこれから大きく変わっていく。

 そんな中でルナティックの知識を有している人間が他の反社会的勢力に組み込まれて活用される事は避けなければならない。


 特に、ルナティックは人工惑星を丸ごと1つ支配下に置いていた巨大組織であり、人工惑星に関する知見が漏れるとどの知識がどの様に悪用されるかは想像もつかない。

 重力を生み出す人工ブラックホール技術やエネルギーを生み出す魔晶石の作り方。単純に保有していた惑星防衛兵器。

 こうした物が裏社会に流れる事はあってはならないのだ。


 ……と、伊集院くんは言った。



「だからこそ多少叩かれようがこっちから素早く囲い込む必要があるんだよ」


 それに、うちの教育部は優秀だし。


 ……などと伊集院くんは供述しているが、その真意は不明である。


「なんでも反対した議員のブログが炎上したって話だよな」

「お陰様でこな王女には信仰者も多いからな……」


 魔法使いでもあった某日本の野党議員が魔法使いのみに公開している記事で、うっかりこなを批判したせいでブログごと削除し逃亡すると言う事態が日本でも発生していた。


『こな王女も頭狂っちゃったのかな~

大元が帝国制敷いてるからかは知らないけど、やはり犯罪者を事実上徴兵しようとしているのは軍靴の足音が聞こえてきて恐ろしい。

何よりも恐ろしいのは、日本とかもこうした前例に追随して政権が犯罪者を自衛隊に組み込み戦力を増強しようと画策するかも知れない。

私はそれが一番恐ろしい。』


 ……なんて深く考えもせずにうっかり書いてしまったがために、メタリック皇室の支持者およびX-CATHEDRA(エクス・カテドラ)の支持者の怒りを買ったらしく。ブログは大炎上。アクセス集中のため一時アクセス不能となった。

 しかもこの後ブログごと削除してしまったために非魔法使いからしたら何故議員がブログを削除したかが理解不能で、変な所で混乱が巻き起こっている。


 まあ、地球の物が宇宙人からの圧力に耐えられるはずもないだろう。

 その議員は突然議員辞職し海外(別の星)逃亡、雲隠れした。このせいで野党も元議員の経緯や足取りが全く掴めず、混乱している。



「日本は平和でいいわ……」



 今度こそ疲れたように伊集院くんがため息をついた。

 なんせグレイス以外の幹部もみんなマスメディアに出ずっぱりだ。

 伊集院君なんかは、今日既に3つのテレビ番組に出演してから今ここに来ている。


「少し休んだ方がいいよ」

「だから今こうして休んでいる」


 多分、今も伊集院くんは分身みたいな物を駆使して色々仕事を捌いている。

 彼は大きく伸びをすると、そのまま保健室のベッドに向かい倒れ込んでみせた。

 そんな時に、保健室の扉が開く。


「伊集院君居ま――――」

「ああ、たくや丁度良いところに……それよりお前ら体育遅れるぞ?」


 木本くんが入ってくると伊集院くんは木本くんに反応しつつ、時計を指さした。

 言われてその時計を見れば、もう間もなく体育の授業だ。

 伊集院くんはちなみに今日は一日中欠席という事になっているので、来ない。


「やべっ!じゃあまた後でな!」

「またね~」

「じゃあね!」

「また来るよ」


 保健室を出て、扉を閉める。


 そういえば、ここは魔法使い以外の人間を寄せ付けない結界が張ってあるはず。

 なのに何故木本くんはやってきたのだろうか?


 頭の片隅に現れた疑念を他所に、僕はそのまま体育の授業のためにグラウンドへと足を進めた。

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