それはきっと一目惚れ
あれ?ギャグ目指してた筈なのになんでヤンデレっぽくなってんの?いや、これからこれから(暗示)
「 それで?お前達は一体何がしたい。 」
ハンスの問いかけに、リフィリア達は顔を見合わせた。
「 よーするに生きる理由だ。それがなきゃ、死んでんのと一緒だぜ。 」
「 アリスにはあるの? 」
「 まぁな。 」
少し目を落として、問いに問いで返されたハンスは答える。
「 それは何? 」
リフィリアが聞く。彼女の両隣の二人も、興味津々とばかりにハンスを見つめた。
だがハンスは、にっこりと微笑んで。
「 んー?内緒だ。 」
ーー明らかな拒絶。
幼いが故に鋭すぎる感性で、三人はそれを理解した。
ハンスが初めて自分たちに見せた、高い高い壁。
だからリフィリア達は、それにはあえて突っ込まない。
心の奥で、ズキンと音を立てた痛みは見ないフリ。
誰にでも、知られたくないことはあると理由付けして。
「 アリスさんは、強いんですよね? 」
冷たい空気を追い払うように、ノアが問う。
質問よりも断定の方に近かったけれど。
彼女の視線の先には、この世界でかなり強いと言われる深紅の髪。
「 それなりには、な。仮にも執行人が一人。
弱かったら話にならねぇだろ? 」
「 なら、私達を強くして。 」
「 は?…あぁ、学校なら近いうちに……。 」
「 違くて。確かに勉学は必要だけど、それとは別に。 」
「 実技だけなら、学校よりも貴方に習った方が早いですからね。 」
リフィリア、続けてルティルが言う。
「 それは、生きる理由に必要なのか? 」
「 えぇ。凄く必要よ。 」
「 そうか。」
ハンスはそれ以上、その理由を聞いてこない。
自分も相手に教えないのだから、これでフェアだとでもいうつもりなのか。
ーーふざけるな。
「 だって、大切なものを守るためには、強くならないとダメでしょう? 」
生きる理由を隠す理由も、あの時彼が何を思って自分達を助けたのかも知らない。
でも彼は、三人だけで終わるはずだった世界に入ってきて、自分達を助けたのだ。
彼が自分の領域に自分達を入れる気がないのはわかった。
でも、放してやるものか。
「 ……分かった。ただし、俺の授業は厳しいぞ? 」
「 望むところよ! 」
あの日あの時あの瞬間。
自分達は、神様なんて太刀打ちができないほどにキラキラしている彼に、惹かれてしまっているのだから。
だから、私達から逃げないでね。
貴方は私達だけの、神様なんだから。