魔法都市ヴァレンティナ
いろいろ設定を思いついて唐突に書いたものです。
短編ですが連載するかもしれません
どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m
とてつもなく広い、いわば都市と呼称するのが正しい俺たちの学園、それが魔法都市ヴァレンティナだ。
かつて何もなかった広大な島を5つの大国が事実上協力し合い、ひとつの魔法都市を作った。
この世界でははるか昔から数多くある国を一つの国にまとめようと多くの国同士の間で戦争をしていた。
その争いから長い年月をかけ、今5つの大国にまで国が統治された。
しかし、そこからが長かった。お互い大国になってしまった国同士はお互い牽制をしつつ
も決定打になるものがなかった。
その最中である。科学が進歩し我々生物には皆マナというエネルギーを持っていることが分かった。
そして人々には4つの属性ーー火、水、木、雷の性質を一つだけ必ず持つことも。
これにより大きく戦況が変わった。皆が魔法を使い、そして優秀な魔導士を求めた。
しかし、どの国にも魔法に精通している人々が少なかった。
これ以上戦争を長引かせないと、5つの国によって計画されたのが広大な島に世界で唯一の魔法都市ヴァレンティナを建設した。
そこで多くの生徒が魔法を学び、平等に自国の戦力を強化する場を設けようと。
そう、この魔法都市ヴァレンティナはこの世界において唯一認められる魔法学校なのだ。
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「はぁ、はぁ」
俺は入学早々の遅刻の危機を免れるため走っていた。
この学園で学ぶのが楽しみで楽しみで夜も眠れずようやく眠れたのが夜4時だ。朝と言ってもいい時間帯だ。
ここで学ぶために俺はあの狭くて息苦しい国を捨てたのだ。楽しみで無いはずが無い。
自分が生きていた国と違い、ここには魔法がある。街中のいたるところにある魔法道具を見るとそれだけでも心が躍る。
そんなはやる気持ちを抑えながら俺は学園ヴァレンティナまで急いだ。
「遅い!」
そんな先生の一喝を受けた。平謝りして案内された場所まで走る。
白くて大きな巨石であしらわれたコロシアムの中に入ると、すでに大勢の人が集まっている。集合時間まで残り5分。ギリギリ間に合ったようだ。
俺たちを見下ろすように席に座っているのはたぶん在校生たちだ。5つの大きな塊で分かれている。
興味津々で辺りを見ていると
「ねぇ君も一人?」
と声をかけられた。
振り返るとそこには綺麗な長い青みがかった黒髪美人がいた。
端正な顔立ち。流れる黒髪。全体的に華奢な体つきながらも出るところは出ている身体。
品があるのが風貌からでもよくわかり、そのどれもが完璧で一つの芸術作品のようだった。完成された美しさに一瞬言葉を失う。
それを取り繕うように
「…そうだよ。君も?」
と無難に返す。
「うん、私は5つの大国の中でも辺鄙な土地から来たからね。知り合いがいなくて困ってたんだ。…ねぇ私たち友達になろうよ!」
そんなとてつもなく嬉しい提案を断るわけ無い。
「うん、友達になろう。よろしく。俺は桐生 真斗。君の名前は?」
「私?私はアーシア。それにしても珍しい名前だね。どこの国出身なの?」
そんな彼女の疑問に正直に答えようか迷ったがどのみちすぐ分かることだろうと正直に答えた。
「俺は5つの大国出身じゃ無いんだ。俺は倭の国出身なんだ」
「倭の国ってあの中立国の!?でもあそこは鎖国をしているから人の出入りができないはずじゃ…」
「そう。俺はあの息苦しくて狭い国から逃げ出して」
「「「静粛に!!!!」」」
一人の先生が壇上に上がり声を出した。
その大きな声のおかげで会話が遮られてしまった。
しーんとなった光景を満足するかのように頷き言葉を続けた。
「今から入学式を始める。では学園長どうぞ」
その人が手にもつ魔法道具の拡声器を、見た感じ学園長とわかる白い髭がたわわにある一人の老人に渡した。
「皆、御機嫌よう。ここにいるものは5つある大国出身者であろう。君たちも知っている通り、5つの大国は今でも争いを続けておる。しかし、この学園に通うのならば、国同士の争いは慎むように。
この学園の数ある校則の中でも学園内での殺人は最も厳しい処罰が待っておる。これは5つの大国がこの魔法都市ヴァレンティナを建設した時からの決まりごとじゃ。未だそれを破ったものはいない。何故ならばその最も重い処罰は罪を犯した出身国に大きなダメージを与えるためじゃ。
この学園では皆平等に楽しく有意義な学園生活を送ることをモットーとしておる。
国同士のいがみ合いを持ち込むようなことは一切無いように。
皆、楽しく魔法を学ぶように」
学園長の挨拶が終わり俺たちは拍手する。
心の中で俺は今の発言により楽しく魔法を学ぶことが約束された学園であると確信したからだ。
それからはいろいろな先生たちにより諸注意などが長々と続き、いよいよメインイベントである属性審査がやってきた。
「この属性審査装置に手をかざすとその人が持っている一つの属性が測定できます。
人は4つの属性ーー火、水、木、雷のうち一つだけを必ず持っています。
火属性の場合は審査装置の中が赤く燃える。
水属性の場合は審査装置な中で水ができる。
木属性の場合は審査装置の中で植物ができる。
雷属性の場合審査装置の中で電気が走る。
それがその人の適性属性です。
水は火に強く、火は木に強く、木は雷に強く、雷は水に強いです。
そしてこの学園はその属性によって校舎が分かれています。
火属性はイグノーマ、水属性はアクアノア、木属性はフォレスティア、雷属性はエクトアル。
そしてご存知の通りこの学園では魔導士のランクとして8つのランクに分けられます。
L、S、A+、A、B、C、D、E。これはこの学園を卒業してもそのまま国の魔導士ランクとして受け継がれるものです。
そのランクがL、S、A+の者だけが入れる校舎がナイツ オブ キング。
この5つの校舎に属性審査装置で分かれてもらいます。
この属性審査装置は言わば最初の試験なのです。
このあともランクがA+以上になった場合でも違う校舎に編入できます。その逆も然りです。
では説明が終わったところでお一人ずつ前に出て属性審査装置に手をかざしてください」
そんな長ったらしい説明を受けたあと一人一人属性審査装置に手をかざす。
暇だなと思っていると、隣にいるアーシアに話しかけられる。
「ねぇ、さっきマサト君は倭の国から逃げ出してきたって言ってたけれどどーいうこと?」
「俺はあの息苦しくて狭い国が嫌いだったんだ。鎖国状態で外の世界に何が広がっているのかも検討がつかない。貿易するのも一部の決められた場所だけ。でもそんな時、貿易相手の人が俺の親が経営していた店に来たんだ。その人が俺にいろいろ外の世界を教えてくれた。
そして魔法の存在も教えてもらったんだ。俺たちの国は鎖国してたのもあって魔法の存在を知らなかった。
そして魔法の学校があることを教えてもらった時俺はその日、ドキドキで眠れなかったんだ。そして俺はその人に頼み込んで密かに倭の国から出ることに決めたんだ。計画は成功して俺はここに来ることができたんだ」
長々と俺の素性の話を興味津々でアーシアは聞いていた。
「そんなことがあったんだね。私も共感できるよ。私も辺鄙な土地で生まれて広い世界を知りたくて魔法を学びに来たんだもん」
そんな話をしていると自分たちの番が近づいてきた。
不意に彼女にどの属性がいいのか聞くと
「どの属性でもいいけど、熱いのが嫌だから火はお断りかな。マサト君は?」
「俺はどの属性でも嬉しいよ。魔法が学べるだけで幸せだ」
そんな返答をするとアーシアの番が回ってきた。
アーシアは恐る恐る属性審査装置に手をかざす。
その瞬間、中でバチバチと大きな電流が流れた。
「君の属性は雷。ランクはA+だね。おめでと
う。ナイツ オブ キングに入る資格があるよ」
そんな言葉をかけられ彼女は振り返りこちらを向いて輝かんばかりの笑顔でピースをした。そんな姿に少し見とれたのは内緒。
そしていよいよ俺の番だ。緊張で震える手を装置にかざした。
しかし、装置が何も反応しない。故障したのか?と思いながら再度手をかざすがやはり無反応だ。
先生方が故障かな?と言いながらそれぞれ手をかざす。しっかりと中が火で燃えた。
そしてまた俺が手をかざす。やはり無反応だ。
先生方が口々に同じセリフを言った。「こん
なのはありえない」と。
その騒ぎを聞きつけ学園長が何事かと先生たちに問う。
そして先生たちが何やら集まって話し始めた。
数分後、学園長が俺のところまで来て衝撃なことを言った。
「君には属性が無い」と。