表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Break Childs  作者: そうしょう
8 道行く仲間と最後のコア
49/61

49 桜の元で誓うこと

桜が散っている。

薄紫の瞳を丸くして、レピートは息を呑んだ。

「……!!」

巨木が、あった。

まるで、空を覆ってしまうかのように美しく咲いた桜の花。満開に咲き誇った桜がレピート達を包み込んでいた。さすがのレイスも、これには「ほう」と声を漏らす。言葉が出ない。

圧倒された、圧巻な風景だ。

「す、すごいです…こんな……」

「これが……≪生命の樹≫」

「せいめい…?」

シプロが頷く。

一歩前に進んで、見上げながら目を細めた。

「永久に咲き続ける――そこから、≪生命の樹≫と呼ばれるようになったようだ。見るのは私も初めてだが」

「お花見したら楽しそうです……」

ぽつり、とレピートが呟けば、後ろでレイスが息を吐く。次いでレイスが続けようとした言葉を、ロズが「まぁまぁ」と遮って、レピートの肩に積もった桜を払った。

「もう少し落ち着いたら皆で、ね」

「そのときはあたしも頑張ってお弁当作っちゃおうかしらね。シプロも作るでしょう?」

「えっ…!?あ、え……私もか……」

ぎょっとして振り返るシプロが、あまりにも慌てたように眉を寄せる様子にプレネスが笑った。ティも微笑んで、レピートを見詰める。

「そのときは…ぜひ、ぼくも呼んでネ」

「当然ですよ!皆でやりましょう!」

「ラックもみ?」

「はい、ラックもです!」

桜が、舞う。


桜の命は短い故に、儚いがために美しいと称する者が居る。永遠咲き続ける花は、果たして美しいと言えるのだろうか。

ただ、咲き続けるだけ。

長く、生き続けるだけ。


けれど、その意味はある。満面に笑みを浮かべる一人の少女を、喜ばせることができる。きっと、それだけでも意味になる。


「師匠も、お花見楽しみですよね…!」

そうして、少女は青年に笑みを向けた。

レイスは、眩しくて、桜に染まる少女と目を細めながらも合わせる。

「……そうだな、いつか」


いつの日か。


コアの気配がある。ラックがふわりと浮いて、ぺたりと地面に足をついた。

「この下、何かあるみ…」


……

………


短剣の柄で削ってみれば、土が上からかけられていることに気が付いた。長年、開かれていないのだろう。固められてしまった部分はティが水を呼び、ロズが風で削り取る。やがて、奥に続く階段が見えた。

「…待ってください、これ、地下…!?」

「遺跡みたいに繋がっているのかしら…」

レピートが覗き込み、同じように隣で腕を組んで見守っていたプレネスが小首を傾げる。

と。

「遺跡……?!古代の物?!しかも、隠されタ?!!」

「うっわぁ……」

食いついたティが、他の面々を押し退けるようにして早々に足を踏み入れる。咄嗟にレピートは「危ないですよ!」と声をあげるも、「大丈夫だいじょぶ!」などと呑気な声が奥から反響した。ためらいもなく地下へ進むティの姿に、ロズは若干うんざり気に呟く。

「ああいうのって、何ていうんだっけ…遺跡マニア…?」

「と、とりあえず…ティ一人にするのは危険です、私たちも行きましょう…!」

レピートの言葉に、若干気後れしながらも一行は頷いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ