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痺れとスマホ

 

 ベッドに寝っ転がっていつものようにスマートフォンをいじっていた。

 仰向けで左手を掲げて某呟きサイトを流し読む。

 すると、サイトの呟きの枠が薄くなり画像が繋がって見えてきて「ん?なんだ?」と違和感を覚えた瞬間には画面が真っ暗になってしまった。しかも画面の右端から男の顔半分が写しだされるし、耳鳴りのような甲高い音がなり始めるし、バイブ機能がフル稼働し始める。


 これは噂のハッキングか?とか思ってボケッと画面を見ていたら、左手が痺れて動かなくなって、その痺れが全身に広がっていって、その全く動けない状況で画面の中の男の人は薄くなっていく。動かなくてスマートフォンを持っていられないはずの左手から何故かそれは落ちていかないし、ただの金縛りだと思うことにして、身体を無理矢理に動かそうにも全く全身が言うことを聞かない。


 バイブ音と耳鳴りが大きくなってきて、最後には笑い声が遠くで聞こえてきた。

 叫ぼうと思ったらすでに上下両方の唇は痺れていて、全く動く気配もなく。

 何かうなろうにも喉も痺れて閉じていて、掠れた声さえ出せない。


 そこでかろうじて左手が動きスマートフォンを手から離せた。

 しかし、それも重力にしたがって身体に落っこちてきただけ。

 しかもその落ちてきたわき腹に食い込んできている気がする。


 でもスマートフォンを手放したことで、とりあえず左手は痺れていながらも少しは動かせるようになった。左のわき腹に張り付いたスマートフォンをプルプルと腕を震わせながらようやく引き剥がすと、そのままそれをベッドの左側、床に投げつけてしまおうと左手を払った。

 なのにスマートフォンは空中で身をひるがえし舞い戻ってきて、また身体に張り付いた。しかも今度は右側の窓に人影が映っていて、笑い声が耳元で聞こえてくる。

 全身が麻酔を打たれたように痺れて動けないが、少しは慣れたからなのかはじめの頃より何故か痺れがマシになり痛みを感じられるようになってきたため、ベッドから転がり落ちることでなんとか動きだす。


 自分の部屋の扉は開いていたから、そのまま壁に身体を打ちつけながら目指すは両親の寝室。壁を支えにしたりとふらつきながら廊下に出る。視界の上半分が真っ黒に染まっていて、痺れは立ち上がったときより酷くなり、スマートフォンが張り付いていた左わき腹には完全に感触がない。

 ふらふらふらふら進む。笑い声が近付く。

 やっと両親の寝室の扉の前にたどりついた。そのところで、全身が硬直してぶっ倒れる。



「……マジかよ」


 自分の声に、はっと目が覚めた。ベッドの上に戻っている。窓の外が明るい。

 夢か。

 どこから夢だったのかわからない。しかも、まだ左手とわき腹はしっかりと痺れている。


 私は飛び起きてスマートフォンを握った。


『おはようございます。死ぬかと思った。怖すぎる夢みた』


悪夢でした。しかもこの日、40分で3個の悪夢を見てました。その3つ目がこれです。

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― 新着の感想 ―
[一言]  スマートフォンにまつわる怪奇現象。ホラーチックな短編、怖がりなわたくしですが、内心どきどきしながら、最後まで読むことができました。  スマートフォンが織り成す不自然な現象は、何かを暗示し…
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