初恋
※今回でキャライメージ可能性があります・・・がんばって!
「対人恐怖症?何の話ー?」
「…桂華、そこは聞き流してあげるべきだ。」
どこか間延びした高い声と、女性にしては低めの深い声。
いつの間にか開いていた扉から入ってきた女性達が、くすくすと笑い合っている。
入室してきた3人の女性、そのうちの一人に…、
…見た瞬間、視線を一切そらせなくなった。
闇色の髪と裾を半ば引きずるような服に包まれた童女。
…いや童女と呼ぶには、その瞳に幼さはない。
寿命の長短の幅が大きすぎる仙士でも、
ここまで達観して世界を見れるのにどのくらいかかるだろう?
見下ろしているはずなのに、その緑の瞳には全てが見下ろされている錯覚に落ちる。
翡翠より綺麗な緑がこの世に存在するなんて初めて知った。
小作りな顔立ちは、造形に一切の隙がない。
100だろうが、1000だろうが見た奴全員が美人だと評する美貌…。
頭の中で様々な言葉が廻ったが、結局言葉にできたのは一言。
「小さい…。」
「あなた死になさい!」
彼女が持っていた扇で遠慮なく殴られた。
…睨む姿も可愛い。
「ちょ…!零誓ストップ!殴るのストップ!」
「…命知らずがいた。」
零誓…名前も可愛い。
二人の女性に止められて、こちらに向けられていた視線が逸らされる。
非常にもったいない、殴られてもいいからこっち向いてくれないだろうか…。
それにしても何に怒ったんだろう?
零誓は可愛い、小さくて可愛い。
完全停止型なため、少年の姿をしている自分より小柄な存在はあまり見ない。
そのせいで余計可愛いのかもしれないが、
髪も、瞳も、声も仕草も可愛い。
こっち向いて何か話しててくれないかな、持って帰りたい。
「…王維、ちょっと意識こっち戻って来い。」
傍らまで移動してきた創子に軽く肩を揺さぶられた。
…これでも気配には敏感なんだが、やっぱり本職は違うな。
「王維?えー本物?」
「偽物がいるのか?」
「え、さあ?あ、私は桂華!王維と同じ飛天の一族だよ!」
明るい金髪に、自分より薄い色をした紫の瞳。
飛天は紫の色素が出やすい一族だから、おそらく片親は別の神の一族だろう。
何が楽しいのかニコニコと…謎だ。
「あのう…丁度メンバー揃ったみたいですし、自己紹介しませんか?」
意外と、本当に意外と空気読まない識の提案でその場は収まった。