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明日未の日記

私は両親に手を繋ないでもらい、はしゃいで歩いていたのを覚えている。


仕事の忙しい両親が週末に休みを入れ、神先市のポートアイランドに遊びに連れて来てくれた。

凄い人の数だった。私くらいの子も多くて、皆一様にはしゃいでいた。


「ねえ、見てよお父さん。すっごく、おおきいお船があるよ。」


ポートアイランド真ん中には大きな貨物船が象徴として置いてあり、中を見学出来る様になっていた。

走り出そうとした私に父さんが優しく声を掛けた。


「おいおい、明日未。今日はアキト君の発表会を見に来たんだろう。」


神童、神先 空人。

彼の名を日本人で知らない人は居ないだろう。

若干7才で海外の大学を卒業し、卒業と同時に新型のモーターを発明。

そのモーターが日本の船メーカーで採用された事でその日は、船のお披露目とアキト君の発表会が行われる事になっていた。

私なんかが聞いてもさっぱり解らないだろうが、メディアでも注目されている同い年凄い子を見てみたかったのだ。


「ほら、明日未。そろそろ、行かないとアキト君見れないわよ。」


また両親に手を引いて貰い発表会場まで混雑した道を歩いた。

やっとの思いでたどり着いた会場では既に発表が始まっており、私よりも少し身長の低い男の子が大人達を相手に堂々と発表をしていた。

聞いてもチンプンカンプンな話だったが、いつもテレビで見ていたアキト君を見られたので、私は良く解らない話にあいずちをしながら見入っていた。


黒く透き通ったセミロングの髪に凛々しい目をした何処か中性的な少年は、学者やマスコミの質問にもはっきりと返答している。

全ての質問に答えて、次はいよいよそのモーターを搭載した船の発表だった。

小型船らしく、アキト君の後ろの膜が落ちると近代的なデザインの船が姿をあらわした。


「ねえ、ねえ、お父さん。あのね、あのお船はアキト君が作ったお船だよね。」


「そうだぞ、アキト君は凄いな。まだ、明日未と同い年なのに偉いなぁ。」


「そうだよね。すごいよね、アキト君偉いよね。」


「まぁ、明日未ったら。本当にアキト君が好きなんだから。」


「うん。アキト君、すごいし、偉いし大好き。だからね、結婚すりゅの!」


幼いときは、大胆な発言が出来るものだと思う。(*´д`*)

そんなやり取りをしている内にアキト君が船の方に向かい始め、説明の為に船のモーターに手を掛けた。


一瞬の出来事だった。

何が起きたのか理解できなかったがあの時の事は鮮明に覚えている。

船のモーター付近から空に向かって光が伸びた。


私は素直に綺麗だと思った。

まるで、神様や天使様が空に帰って行くように光が伸びて、そして広がった。

光の中で両親が私を庇う様に覆いかぶさってくれたのをちゃんと覚えている。

その刹那、轟音と共に世界は炎に包まれた。

一度意識を失った私は、全身の激しい痛みで、意識を取り戻した。


そこは地獄だった。周辺は炎の海と化しており、空には厚くて真っ黒な雲と煙がモクモクと立ち上っていた。


「うぇええええええええええええん。お父さぁん、お母さぁん。」


私は全身の痛みで泣き叫びながらながら考えていた。

何故、自分はこんなところに居るのだろう、さっきまで両親と一緒にポートアイランドに居たはずなのに。

こんな殺風景な景色が何処までも続いている風景なんて知らない。

わけが解らない。

熱い、痛い。

早く帰りたい。

お父さんは、手を握ってくれていたのに何処に行ったのだろう。

お母さんは、私が泣いていると必ず来てくれるのにどうして来ないのだろう。

全身が熱い。なんだか目が霞んで来た。

薄れ行く意識の中、誰かが私を背負って歩いていたのを私は覚えている。

青いセミロングの髪が頬に当たって、何だか良い臭いがして安心して私の意識は落ちた。


2011年8月11日。午後2時35分

神先市、ポートアイランドにて原因不明の爆発が発生。

半径3kmが焦土と化す。死者1988名、生存者2名。


沿岸部で市街地から離れていた為、爆発の規模にしてはこれ以上被害が出なかった事は不幸中の幸いだったと何処かの専門家が言っていた。

生存者は子供が2名だけだった。

私は、どうしてあれだけの爆発で助かったのかは解らない。

あの光の中心にいたアキト君は奇跡的に生きていたけど重症。


なら、一体何処の誰が私を運んでくれたのだろうか?


この事件は世界的なニュースとなり、生存者の中にアキト君がいた事が拍車を掛けた。

あの神童が犯人だ。メーカーはテログループとつながっていたんだ。

コレは、テロだ。あのモーターが爆発したのだ。爆弾が仕掛けられていたのだ。

とか有りもしない、憶測が飛び交ったがどれも違うことが証明されている。


あれから、10年。

私は、左腕を失い。アキト君は記憶を失いました。

お父さんとお母さんは死んじゃったけど。

私は元気だよ。お父さん、お母さん心配しないでね。

今でも、この神先市で元気に生きています。(´∀`)


2021年8月11日 明日未の日記から抜粋。

見て頂いている方がいたのなら恐悦至極です。

この作品は不定期に更新して行きます。

誤字脱字は気づき次第に修正していきます。

クロハは阿保の子なのですいませんです。

では( ゜д゜)ノ ヨロー

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