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ひとを愛すること
『わたしは誰も愛せない。愛したことがない』
ある人が言った。
それを聞いた人はこう言った。
『何を言うんだ。自分を愛しているくせに』
「僕、自己陶酔のひとってどうも嫌いだな」
「自分を嫌ってどうする」
「僕はちがうよ。ナルシストじゃないし」
「自己申告か。信用できないな」
「君、もしかして人間不信?」
「あえて言うならお前不信だ」
「それってダジャレ?」
「は?」
「お前不審だ」
「……もういい。天国なり地獄なり、さっさとどこかに消えてくれ」